【30psでも浸れる喜び】初代フィアット・パンダ30 ジウジアーロの四角いボディ 後編

公開 : 2020.12.19 18:25  更新 : 2022.08.08 07:35

運転を楽しむのに数百馬力もの力は不要

スタートダッシュは軽快に感じられるが、積極的に運転する必要性がすぐにわかる。パンダのアクセルペダルは、深く踏み込むために付いている。

最高出力30psだから、パンダは速くはない。0-100km/h加速は36秒。最高速度は、114km/hまで出るらしい。

フィアット・パンダ30(1980〜2003年)
フィアット・パンダ30(1980〜2003年)

しかし、都市部の交通を乱すほど、遅いわけでもない。もどかしい気持ちでいっぱいになることもない。大人4人に荷物を積んでいれば別だろうけれど、1人で運転している限りは軽快だ。

トランスミッションのフィーリングは、当時の小さなフィアットとしてはグニャグニャ感が少ない。ストロークは驚くほど短い。

加速を続けて、スピードを乗せることに集中する。細く長いマフラーから元気な叫び声が響いてくる。巡航走行に入れば、幸せを感じる。

乗り心地は想像以上に良好。弾むように揺れるのは、深いわだちを超えた時くらい。頭が天井に付くほど、揺さぶられることもない。シートは平坦でサポート性は期待できないが、ボディロールは良く抑えられている。

1980年にパンダへ試乗したAUTOCARは、「フィアット・パンダは多用途で、楽しい。フィアットがどうあるべきか、思い起こさせてくれる」とまとめている。確かにそうだ。

普通のコンパクトカーでも、喜びが得られることを教えてくれる。ドライビングを楽しむのに、数百馬力ものパワーはいらない。

初代フィアット・パンダは、それを見事に成立させている。これこそ、象徴的モデルと呼ぶのに相応しい。

フィアット・パンダ30(1980〜2003年)のスペック

価格:新車時 2860ポンド/現在 1万ポンド(135万円)以下
生産台数:449万1000台(総計)
全長:3380mm
全幅:1460mm
全高:1440mm
最高速度:114km/h
0-97km/h加速:36秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:650kg
パワートレイン:空冷直列2気筒652cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:30ps/5500rpm
最大トルク:4.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

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