【30psでも浸れる喜び】初代フィアット・パンダ30 ジウジアーロの四角いボディ 後編

公開 : 2020.12.19 18:25

ジウジアーロが生み出した、シンプルで美しく、四角いフィアット・パンダ。2020年は、パンダ誕生から40周年目に当たります。今回は2003年まで作られた初代の歴史と、1980年式のパンダ30をご紹介しましょう。

もくじ

4x4の追加など重ねられた改良
初代の生産台数は延べ449万1000台
運転を楽しむのに数百馬力もの力は不要
フィアット・パンダ30(1980〜2003年)のスペック

4x4の追加など重ねられた改良

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国人もフィアット・パンダの魅力に引き込まれた。ダンス、VIP、マダガスカル、ファンタジア、マニア、ピンクといった多数の英国限定グレードが誕生している。装備を豪華にする傾向も高かった。

23年間、フィアット・パンダには大きな変更が加えられなかったが、小さな改良は重ねられていた。1982年10月に登場したのは、45スーパー。5速MTに5本バーのグリルを獲得している。続く1983年には4x4が追加。魅力の幅をぐっと広げた。

フィアット・パンダ30(1980〜2003年)
フィアット・パンダ30(1980〜2003年)

アウトビアンキA112用の965ccプッシュロッド・エンジンに、オーストリアのシュタイア・プフ社製四輪駆動システムを搭載。すぐに主要モデルの座についた。ちなみに1980年のトリノ・モーターショーで、ジウジアーロはオフロード仕様のパンダも展示していた。

オーバーヘッドカムのファイア・エンジンの登場は、パンダ最大の進化だろう。1986年に、770ccと999ccの2種類が用意されている。リア・サスペンションもビームアスクルとリーフスプリングから、リジッドアスクルとコイルスプリングへ置き換わった。

1990年にはフェイスリフトを受け、ティーポに似たフロントグリルになり、セレクタと呼ばれたCVTも追加されている。ホイールアーチ・エクステンションが変更され、組み立て品質は向上した。

その間にディーゼルエンジンと、触媒と燃料インジェクションを採用した1108ccの直列4気筒エンジンも選択肢に加わっている。絶え間ないアップデートと、巧妙なマーケティングが功を奏し、2003年9月5日まで初代パンダは現役を努めた。

初代の生産台数は延べ449万1000台

1980年から生産された初代の台数は、延べ449万1000台。続く2代目パンダも高い評価を受けたが、生産はポーランドへ移っている。

今回ご紹介するフィアット・パンダ30は、生産初期の1980年製。1981年から英国でも販売がスタートすると、初代パンダは道端にありふれた存在になった。

フィアット・パンダ30(1980〜2003年)
フィアット・パンダ30(1980〜2003年)

見た目は、エンブレムを除いてパンダ45と目立った違いはない。スチール製フロントグリルのスリットが、2気筒では左側、4気筒では右側に付いている程度。

これは技術的な理由による。空冷エンジンのファンは左側にあって、水冷エンジンのラジエターは右側に付いているから。

横から見たプロポーションは、短い前後のオーバーハングのおかげで、とても四角い。チャーミングだ。ドアは乗り降りしやすいように65度まで開き、シンプルなインテリアが広がる。

ダッシュボード下のトレイは、便利な小物置きになる。生地は外せて洗える。タバコ用の灰皿がポールに付いていて、左右にスライドできる。フロントシートも快適。現代のクルマと比較するとシートは小ぶりだが、人間工学的な妥協は感じられない。

可倒式のシート・レイアウトも自慢。背もたれを倒し、ダブルベッドのようにフラットにもできる。リーフスプリングとダンパーの取り付け位置が賢明で、タイヤハウスの出っ張りも小さく、荷室も広い。

チョークレバーを引き、2気筒空冷エンジンを目覚めさせる。オーナーのアンディ・ヘイウッドがパンダ30の印象を話す。「始動直後は、パワフルに感じられますよね」。クラッチペダルのストロークは驚くほど長く、軽い。