SUVらしく、美しく ルノーのクーペSUV「アルカナ」の狙いは? 来春日本へ

公開 : 2021.12.23 19:45

ルノー日本法人が、新型クーペSUVを2022年春に導入するようです。先行生産の実車を取材できました。どんなクルマなのでしょう?

ルノーがクーペSUVを描くワケ

英国編集部が長期テスト車に迎え入れ、フランスではプジョー3008を抜いてCセグメントSUVのベストセラーになるなど、欧州では注目の1台になっているルノー・アルカナが、来年春に日本に上陸するという。

しかもルノーの電動化戦略E-TECH(Eテック)の一角を占めるハイブリッドシステムを搭載する予定だ。

フランス市場でクラス1位のセールスを記録したルノー・アルカナ。そのスタイリングを詳しく見てみよう。
フランス市場でクラス1位のセールスを記録したルノー・アルカナ。そのスタイリングを詳しく見てみよう。    ルノー・ジャポン

日本市場ではジャーマンプレミアム以外で初のクーペSUV、新車の輸入車では唯一のプラグインではないハイブリッド車になるこのアルカナの先行生産車に、特設コースで試乗することができた。

それにしてもなぜルノーがクーペSUVを手がけたのか。

試乗とは別に、プログラムダイレクターとデザイナーにオンラインで話を聞くことができたので、そこで得た情報もお伝えする。

クーペSUVを作ろうと思った理由は、プレミアムブランドの市場に食い込んでいきたいからだという。すでに同種のモデルがジャーマンプレミアムから登場していたので、それ以外で最初に出すことにこだわったそうだ。

背景にあるのは今年1月に発表された新戦略「ルノールシオン(Renaulution)」だ。

ここでルカ・デ・メオCEOが掲げたのが「ボリュームからバリューへ」だった。その象徴として、ルノー5(サンク)の電動化による復活をアナウンスしたことを、覚えている人もいるだろう。

クーペのラインと高い地上高

アルカナのデザインはサイドから見たときの滑らかなライン、フロントやリアのワイド感がポイントと語っていた。シルエットではルーフからリアスポイラーまで滑らかな曲線でつなげることに気を配ったとのこと。

実車を目の前にすると、200mmの最低地上高がSUVらしさをアピールする一方、ルーフラインはきれいで、初のクーペSUVとは思えないまとまりがある。

街中で見かける四角いSUVとは明らかに異なるフォルム。来年の春には日本に導入されるという。
街中で見かける四角いSUVとは明らかに異なるフォルム。来年の春には日本に導入されるという。    ルノー・ジャポン

横長のグリルやヘッドランプ、赤いラインが中央に伸びるリアコンビランプなどにより、同じCセグメントのメガーヌに近付けたという説明も理解できた。

ただしプラットフォームはメガーヌと共通ではなく、ルーテシアやキャプチャーと同じCMF-Bを使う。

全高はキャプチャーより低く

CMF-Bはメガーヌ用より軽量であるうえに、世代が新しい分ADAS対応などに長けているというのが理由だ。

欧州仕様のホイールベースは2720mm、ボディサイズは4568×1821×1576mmで、日本仕様のメガーヌ・スポーツツアラーと比べるとボディは50mm以上短いがホイールベースは10mm長く、幅は5mmほど広くなり、高さはキャプチャーより15mmほど低い。この数字もクーペらしく見える理由だろう。

ルノー・アルカナ
ルノー・アルカナ    ルノー・ジャポン

グレードごとの差別化にも留意したとのこと。

たしかに日本に導入される見込みのR.S.ラインは、フロントにF1タイプのエアインテークブレードを内蔵し、ホイールは赤いアクセントの入った専用デザインとするなど、精悍さが際立つ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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