SUVらしく、美しく ルノーのクーペSUV「アルカナ」の狙いは? 来春日本へ

公開 : 2021.12.23 19:45

“ボリュームからバリュー” 内装は?

インテリアもR.S.ラインということで、助手席側にカーボン調パネルや赤いラインを入れスポーティに装っている。細かいドットの入ったレザーとアルカンターラのコンビとなるシートも、R.S.ライン独自の装備だ。

クーペでありながらキャビンの広さにこだわったことにも触れていた。

ルノー・アルカナの前席内装
ルノーアルカナの前席内装    ルノー・ジャポン

その言葉どおりで、リアは座面を低くしたりしていないのに、身長170cmの僕ならルーフに頭が触れることはなく、足元にも余裕がある。

480Lの荷室容積を持つラゲッジスペースも奥行きがたっぷりしていた。

もう1つの注目点であるハイブリッドシステムはF1エンジニアも開発に関わったとのことで、1エンジン2モーター、ドッグクラッチ式トランスミッションなど共通部分もある。マネジメントのソフトウェアもF1から提供されたという。

トランスミッションはエンジンに4速、メインモーターに2速を備え、それぞれにニュートラルもあるのでトータルで15通りのモードを持つ。

サブモーターのHSG(ハイボルテージ・スターター・ジェネレーター)は変速時に瞬時に回ってショックを吸収する役目も持つ。

エンジン+2モーター どんな感じ?

発進はモーターのみで、途中からエンジンが始動するのは、他の多くのハイブリッド車と同じ。

ただしエンジンは速度に合わせて吹け上がり、スロットルペダルを緩めるとギアチェンジによって回転が落ちる。

ルノー・アルカナの後席内装
ルノー・アルカナの後席内装    ルノー・ジャポン

HSGのおかげで変速時のショックはないが、ダイレクト感にはあふれていて、ワイドレシオのデュアルクラッチトランスミッションのような感覚だ。

スロットルから足を離せばエネルギー回生が始まり、ブレーキペダルを踏むとそれが強まるが、スポーツモードでは減速時にもエンジンを回すなど、走りを好むユーザーを想定したチューニングだった。自然なペダルタッチも好印象だった。

R.S.ラインということでサスペンションは固めに仕立てたそうだが、欧州仕様の車両重量は1435kgとメガーヌやキャプチャーより重く、ホイールベースやトレッドに余裕があるうえに、タイヤサイズは215/55 R18でキャプチャーと同じなので、乗り心地はルノーらしいフラット感やしっとり感を得ることができた。

見た目だけじゃない、電動化時代の新モデル

ハンドリングもロングホイールベースとワイドトレッドが効いているようで、駆動用電池搭載による低重心化もあり、SUVで気になる腰高感はなく、身のこなしは自然。

キャプチャーよりもルーテシアに近い感覚で曲がっていけた。

ルノー・アルカナ
ルノー・アルカナ    ルノー・ジャポン

クーペSUVボディは見た目のインパクトだけでなく、快適性と操縦性の高次元両立にも貢献していた。

燃費だけでなく“走り味”も大切にしたハイブリッドシステムに通じるところがあった。

距離を重ねるほど好きになるという点で、アルカナもまたルノーそのものだった。

ルノー・アルカナ スペック(数値はすべて欧州仕様値)

全長:4568mm
全幅:1821mm
全高:1576mm
0-100km/h加速:10.8秒
CO2排出量:108g/km
車両重量:1435kg
エンジン形式:1598cc直4
使用燃料:ガソリン
システム最高出力:143ps
最高出力(エンジン):94ps
最大トルク(エンジン):15.1kg-m/600rpm
最高出力(Eモーター):49ps
最大トルク(Eモーター):20.9kg-m
ギアボックス:エンジン4速/メインモーター2速
最低地上高:200mm

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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