アウディR8 V10パフォーマンス RWDへ試乗 570psのMR V10エンジンを堪能

公開 : 2022.01.01 19:05

V型10気筒エンジン搭載したアウディ製スーパーカーのラストモデル。英国編集部が評価しました。

5.2L V型10気筒は30ps増しの570ps

内燃エンジンの時代はもうじき終わる。その節目は、マーケティングでも重要な意味を生むことになる。アウディのスーパーカー、R8がそっと幕引きすることはなかった。

最新版となる、R8 V10パフォーマンス RWDの発表イベントは、西アフリカにほど近いスペイン領のグランカナリア島で開かれた。沿岸のサーキットと山岳地帯に伸びたワインディング、高地に広がるキャンプ場で。

アウディR8 V10パフォーマンス RWD(欧州仕様)
アウディR8 V10パフォーマンス RWD(欧州仕様)

サステナビリティへも配慮するアウディだけあって、発表イベントで提供された食べ物は、すべて動物系の素材を用いないビーガン。現地の電力は、アウディeトロンのバッテリーで賄っていた。エンジンの唸り声が勇ましい、R8 V10とは対象的なほど。

モデル終了はまだ2年先だが、V10パフォーマンスの登場で、R8の選択肢は絞られることになる。限定の特別仕様は今後も登場するかもしれないが。

標準のR8はラインナップから消えた。これからR8で選べるのは、今回のV10パフォーマンスのみ。ボディはクーペとスパイダーが用意され、クワトロの四輪駆動とRWDの後輪駆動が選べるけれど。

今回試乗したV10パフォーマンス RWDは、そのなかでも特にドライバーズカー度の濃いモデル。単に四輪駆動のフロント・ドライブシャフトを省いただけのR8ではない。

エンジンは自然吸気の5.2L V型10気筒で、新しく改良を受けている。最高出力はこれまでのR8 RWDから30ps増しとなる、570psを獲得した。ちなみにV10パフォーマンス・クワトロは、さらに40ps高い。

シンプルでアナログな体験

サスペンションの設定は従来通りだというが、クワトロのものとは異なる。RWDの方が少しリアスプリングが硬く、ネガティブ・キャンバーが強められている。リア側のレスポンスをシャープにするために。

R8のエントリーグレードに当たるRWDでは、上位のクワトロとの見た目の差別化も図られている。ホイールは19インチで、スチール製のブレーキディスクが標準となる。

アウディR8 V10パフォーマンス RWD(欧州仕様)
アウディR8 V10パフォーマンス RWD(欧州仕様)

ボディ側面のエアインテーク部を覆う、サイドブレードはボディと同色。クワトロでは、カーボンファイバー製が奢られる。

アウディは、上級のエディションというトリムグレードも用意した。パフォーマンス RWDにも設定でき、カーボン・インテリアに20インチのアルミホイール、バング&オルフセン社製のオーディオなどが搭載される。

試乗車として用意されたクーペとスパイダーには、オプションのカーボンセラミック・ブレーキと、可変レシオのダイナミック・ステアリングが装備されていた。だが、どちらも英国では選べないという。

V10パフォーマンス RWDにはアダプティブダンパーが備わらず、機械式のリミテッドスリップ・デフが付いている。デジタル化が進む世界で、アナログな体験を与えてくれる。

シンプルな後輪駆動のR8のメカニズムを、積極的に感じ取れる。繊細で研ぎ澄まされた挙動を通じて。同時に、ライバルのスーパーカーが遂げた進化も実感する。

記事に関わった人々

  • マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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