640馬力の公道向けレーシングカー アウディR8、限定99台の「過激」仕様に お値段約1億円

公開 : 2023.11.28 06:05

・ドイツのチューナー、アプト(ABT)がDTMレーサーの公道版をリリース。
・見た目も中身も超レーシーなアウディR8、99台限定生産で価格は59万8000ユーロから。
・1400kgの軽量ボディで最高出力640ps。過激な後輪駆動マシン。

車重1400kgの過激マシン アプトの真髄

ドイツのチューニング会社であるアプト・スポーツラインは、アウディR8をレーシングカーのように仕上げた新型XGTを公開した。99台の限定生産で、ドイツでの販売価格は59万8000ユーロ(約9750万円)とされる。

アプトXGTは、ドイツのツーリングカー選手権であるDTMに参戦するアウディR8 GT2の公道バージョンとして、ナンバープレート付きでありながら可能な限り「サーキットの感覚」に近づけているという。

アプトXGT
アプトXGT    アプト・スポーツライン

開発には、アウディのレースと長年関わってきたシェラー・スポーツも参画した。公道走行に向けた規制対応やパフォーマンスの維持など、開発は「従来の車両開発の範囲を超えた」、「2年間にわたる極めて複雑」なものだったという。

R8 GTと同じ5.2L V10エンジンを搭載し、最高出力640psを発生。後輪駆動方式で、車重は170kg軽量化されて1400kgとなり、最高速度310km/h、0-100km/h加速は3.4秒以下を達成する。

アプトのハンス・ユルゲン・アプトCEOは、「このユニークなコンプリートカーの開発に我々を駆り立てたのは、挑戦そのものでした。XGTは、アプトの伝統の真髄なのです」と述べている。

DTMドライバーのケルビン・ファン・デル・リンデ氏とリカルド・フェラー氏はXGTに試乗し、その「ロードハンドリング、ステアリングの挙動、加速は、どのロードカーとも比較できない」とコメントした。

XGTは標準のR8にレーシーな装飾を施したものではなく、公道走行可能なレーサーと銘打たれている。そのため、DTMレーサーと同じ熱管理システムと車両診断システムを備えているが、燃料供給システム、ハンドブレーキ、セントラルロック、バックカメラなど、一般的な市販車と同じ機能も一部搭載される。

足回りとしては、デュアル・アジャスタブル・サスペンションに特注の鍛造スプリングとダンパーを組み合わせている。タイヤはピレリPゼロ・トロフェオRを履く。

当然ながらスタイリングはレーシングカーにインスパイアされたもので、ブロンズのフロントカナード、ルーフラインとほぼ同じ高さのリアスポイラー、フロントフェンダーとルーフのエアインテーク、パースペックス(Perspex)製ウィンドウなどが採用されている。ボディカラーは4色から選択可能。

インテリアでは、DTMレーサーのコントロールパネルとステアリングホイールはそのままに、ミラー、エアコン、インジケーターなどを操作できるよう一部のスイッチを公道用に変更した。インストゥルメントクラスターも簡素化され、レブカウンター、車速表示、トラクションコントロール設定、アンチロックブレーキ設定が拡大されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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