訴求力高し プジョー5008 1.2 ピュアテック130へ試乗 130psで必要充分な走り

公開 : 2022.02.13 08:25

小さなエンジンに7シーターの大空間を備えた、ファミリーSUV。英国編集部が1.2Lモデルを評価しました。

プジョー最大のボディに1.2L 3気筒ターボ

プジョーのモデルレンジで、最大のボディを持つクロスオーバーの5008。そこにプジョーとしては最も小排気量のガソリンエンジンが組み合わされたのが、今回の試乗車、1.2 ピュアテック130だ。

英国価格は、試乗車で3万2995ポンド(約511万円)。より少ない出費で、大きな車内空間を得られるプジョーといえる。

プジョー5008 1.2 ピュアテック130 アリュール(英国仕様)
プジョー5008 1.2 ピュアテック130 アリュール(英国仕様)

フロントに搭載されるエンジンは、1.2L 3気筒ターボガソリン。ピュアテック130の場合では、最高出力130psと最大トルク23.4kg-mを発揮する。トランスミッションは6速マニュアルが組まれる。

欧州の廉価モデルといえる、シュコダ・コディアックなどとライバル関係に当たる。0-100km/h加速の時間は9.9秒で、動力性能でもお互いに近い。

控え目なパワーにも関わらず、10秒を切る数字を獲得できている理由は、見た目より軽い1492kgという車重のおかげ。車内空間の広さを考えると、驚くほど軽量に仕上がっている。

2017年に発売された5008だが、2020年にフェイスリフトを受け、新しい208や508など最新のプジョーらしさを獲得した。相変わらず、このクラスでは最も見た目の良いモデルだと思う。ブラウンのボディカラーは、好き嫌いが分かれそうだ。

インテリアは、プジョー最新のiコクピット・レイアウトが特徴。インフォテインメント用のタッチモニターは10インチで、その下へ実際に押せるハードボタンが並んでいる。メーターパネルは12.3インチのモニター式となり、表示内容の変更が効く。

落ち着いた乗り心地で穏やかなクルージング

1.2 ピュアテック130の走りは、基本的にリラックスムード。エンジンは、BGMとして柔らかくノイズを響かせながら、不足なく5008を引っ張る。とっさの時などレブリミット付近まで回すと、3気筒らしいビートが聞こえてくる。

回転の質感も良い。キア・ソレントPHEVが搭載する4気筒エンジンより、遥かに洗練されている。

プジョー5008 1.2 ピュアテック130 アリュール(英国仕様)
プジョー5008 1.2 ピュアテック130 アリュール(英国仕様)

加速力にも大きな不満は感じない。速いと感じるほどではないものの、太いトルクのおかげで気張ることなく、必要充分な走りを叶えている。高速道路でのマナーも良好。6速MTのロングなギア比と相まって、穏やかにクルージングできる。

反面、そのギア比が影響し、郊外の道を速めに走らせるような場面では、こまめな変速が求められる。約80km/hでの走行時は、6速で2000rpmを下回る。ガソリンエンジンを好調に回すには、5速を選ぶことになる。

ただしMTは引っかかりもなく、滑らかに変速できる。期待ほど安楽というわけではないが、1速落とす作業を面倒には感じないだろう。

乗り心地は、基本的にしなやかで落ち着いている。鋭い凹凸を通過すると、揺れが強く伝わるようだった。不安定さを感じるほどではないが、フランスの大きなファミリーSUVへ期待するほど、平穏ではないことも確かだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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