ウイリスMBからジープ・ラングラーへ 80年間の3世代を比較 自由のクルマ 後編

公開 : 2022.02.12 09:46

望み通りの場所へ走れる大きな頼もしさ

一方でラングラーは順調に人気を伸ばし、バリエーションも拡大。クライスラーの成長もアシストするほど。同社は1998年にダイムラーと合併するが、10年も立たずに解消。2009年にクライスラーは倒産するものの、フィアットジープ・ブランドを救った。

セルジオ・マルキオンネ氏がモデルラインナップを活性化させ、ラングラーを中心的な位置に据えた。走る場所を選ばない、ブランドの核として。

ジープ・ラングラー・アンリミテッド(JL型/英国仕様)
ジープ・ラングラー・アンリミテッド(JL型/英国仕様)

今はステランティス傘下にあるジープだが、いかにもアメリカ的なイメージは薄れていない。80年に及ぶ歴史を有する、ヘリテイジ的な佇まいすらある。

2021年、ジープはラングラーに80thアニバーサリー・エディションを設定。4代目のJL型へ進化したラングラーへ、源流のウイリスMBを彷彿とさせるボディカラーと細かな装飾が施された。

最新のラングラーは快適。座り心地の良いシートに、温風を勢いよく吐き出すエアコンも付いている。アルミニウム製のドアとルーフが、乗員を雨風から守ってくれる。

乗り心地も良い。サスペンションは洗練され、CJ-7型と比べても遥かに優れている。ラジオから流れる音楽を聞きながら運転していると、ウイリスMBとの共通点は殆ど感じない。目を細めて、記憶を重ねてみても。

しかし、通じる要素があることも間違いない。それは、クルマから伝わる自由な感覚。望み通りの場所へ向かえるという、大きな頼もしさだ。

これこそ、ジープが80年以上生き抜いてきた最大の強みでもある。これから先も、世代交代を重ねることだろう。

ウイリスMBとジープCJ-7、ラングラー 3台のスペック

ウイリスMB(1941〜1945年/北米仕様)

英国価格:約987ポンド(新車時)
全長:3360mm
全幅:1575mm
全高:1771mm
最高速度:104km/h
0-97km/h加速:−
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1655kg
パワートレイン:直列4気筒2199cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:60ps/4000rpm
最大トルク:14.5kg-m/2000rpm
ギアボックス:3速マニュアル+2速トランスファー

カーキのウイリスMBとオレンジのAMCジープ CJ-7、ダークグリーンのジープ・ラングラー・アンリミテッド
カーキのウイリスMBとオレンジのAMCジープ CJ-7、ダークグリーンのジープ・ラングラー・アンリミテッド

AMCジープ CJ-7(1976〜1986年/英国仕様)

英国価格:約2633ポンド(新車時)
全長:3759mm
全幅:1740mm
全高:1720mm
最高速度:120km/h
0-97km/h加速:17.2秒
燃費:10.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1220kg
パワートレイン:直列4気筒2471cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:88ps/4020rpm
最大トルク:17.3kg-m/2400rpm
ギアボックス:4速マニュアル

ジープ・ラングラー・アンリミテッド(JL型/英国仕様)

英国価格:5万7050ポンド(約884万円)
全長:4882mm
全幅:1894mm
全高:1848mm
最高速度:159km/h
0-97km/h加速:7.6秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:252g/km
車両重量:1822kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:272ps/5250rpm
最大トルク:40.7kg-m/3000-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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