ペルフォルマンテと同値の666ps ランボルギーニ・ウルス Sへ試乗 パワフルに底上げ

公開 : 2022.12.21 08:25

ヘアピンの鋭い旋回ぶりは想像以上

スーパーSUVと呼べるような豪腕級の走りは珍しさを薄めている昨今だが、それでもウルス Sは凄まじく速い。2.2tの車重でありながら、現実世界では発揮しきれない速度を叶えている。

それでいて、適度に民主化されていることにも唸らされる。繊細とはいえないにしろ、混雑した市街地の中心部を何事もなく運転できる。

ランボルギーニ・ウルス S(中東仕様)
ランボルギーニ・ウルス S(中東仕様)

スポーツ・モードへ切り替えると、エグゾーストノートは凄みを増す。アクセルオフ時には、バックファイヤーの激しい破裂音が追加される。

以前にベースグレードのウルスへ試乗した際、排気音にデジタル加工された音が強めに重なり、さほど魅力的には聞こえなかった。だがウルス Sではチューニングを受け、よりアナログで生々しい。

リア・ディファレンシャルを制御するトルクベクタリング機能が備わり、想像以上の鋭さでヘアピンカーブを旋回できる。まるで、タイヤが路面へ張りついているように感じるほど。その回頭性は、四輪操舵システムが補完している。

ワイドトレッド化され強力なダウンフォースを得られる、ウルス・ペルフォルマンテの方がコーナリング速度は高い。とはいえ、公道を中心に運転するようなドライバーならウルス Sでまったく不満はないはず。

日常的に乗るならベーシックな「S」で

それは、乗り心地でも同様。裕福な国らしくカタールの舗装は極めて平滑で、試乗車は23インチ・ホイールと超扁平タイヤを履いていたが、サスペンションは殆ど働く必要がなかった。乗り心地を充分に確かめられないほど。

少なくとも、以前にペルフォルマンテで少し凹凸のある区間を走った時は、硬さが目立っていた。そちらにはハードなコイルスプリングが組まれていたのに対し、ウルス Sには標準でアダプティブ・エアサスペンションが装備される。後者の方が快適なはず。

ランボルギーニ・ウルス S(中東仕様)
ランボルギーニ・ウルス S(中東仕様)

ドライブモードのスイッチは一方向にしか動かず、ストラーダ(舗装路)、スポーツ、コルサ(レース)、サッビア(サンド)、テラ(荒野)、ニーヴ(アイス)が順に切り替わるのは従来どおり。ストラーダからスポーツを選ぶ場合、何度も押すことになる。

英国や日本で日常的に乗るなら、ウルス Sの方が良いだろう。ランボルギーニを普段使いのクルマにするのはよほど裕福な人に限られるとはいえ、高性能SUVとしての目的や能力を考えると、ベーシックな「S」の方がベターだと思う。

ランボルギーニ・ウルス S(中東仕様)のスペック

英国価格:18万8000ポンド(約3120万円)
全長:5137mm
全幅:2026mm
全高:1618mm
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:320g/km
車両重量:2197kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:666ps/6000rpm
最大トルク:86.5kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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