徹底した改良メニュー ランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテへ試乗 47kg減量 後編

公開 : 2022.10.24 08:26

高性能SUVの頂点を狙うべく、増強と減量を図ったウルス・ペルフォマンテ。称賛に値する能力だと英国編集部は評価します。

荷重移動のマナーに唸らされる

ランボルギーニウルス・ペルフォマンテのインテリアは、ベースとするウルス Sからの変化が大きい。従来以上に運転へフォーカスしたデザインに仕上げたということだが、その狙いは果たされている。

ブラックのアルカンターラが車内全体を覆い、カーボン製トリムが随所を引き締める。雰囲気は至ってシリアスだ。

ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(欧州仕様)

ドアハンドルやスタートボタン、ステアリングホイール中央の目印のレッドが、差し色として効いている。ドアハンドルなどはブラックも選べるというが、どこを引いてドアを開くのか、暗がりでは手間取りそうに思える。筆者はレッドの方が好きだ。

一通り確認を終えたところで、アルカンターラ巻きのステアリングホイールを握り、ウルス・ペルフォマンテを発進させよう。インテリアと同じ変化が、走りにも表れていた。

通常のウルスが軟弱ということはまったくない。だが、ウルス・ペルフォマンテではすべてが別次元に引き上げられている。あらゆる動的能力、旋回性や加速力、制動力に至るまでが、一層シャープさを増している。

特に筆者が唸らされたのが、コーナリング時の荷重移動のマナー。素早く左右へステアリングホイールを回しても、ボディロールが抑え込まれ、ピタリと追従し安定性を失いにくい。遅めの左コーナーでも、その片鱗を確かめられるほど。

高速コーナーの処理能力は驚異的

コーナーの頂点を過ぎれば、出口に向けて一気呵成にパワーを掛けていくことも可能。ハイスピードで次のコーナーへ突っ込むと、トルクベクタリング機能でリアタイヤが積極的にボディの向きを変化させていく様子も感じられる。

より軽く低い、スポーツカーのようにドライバーを軸に旋回するような挙動ではない。ペルフォマンテだとしても、ウルスは高く重すぎる。それでも、高速でサーキットを駆け巡ることを想像以上に楽しめる。舌を巻くほど。

ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(欧州仕様)

無論速い。ウルス・ペルフォマンテは2150kgのSUVとしては実現不可能に思える勢いで、高速コーナーをヒタヒタと突っ走る。驚異の処理能力といえる。これで一般道での乗り心地が損なわれていなければ、感服させられるに違いない。

カーボンセラミック・ブレーキは、サーキットでの積極的な走りを見事に受け止める。試乗時は、加熱し過ぎフェードするような兆候もなかった。ブレーキペダルの踏み始めの反応と、感触が一層明確になればいうことはない。

今回の試乗はサーキット限定だったため、普段の道での印象は確かめられなかった。少なくともバネ下重量が削られているから、粗野な振る舞いではないと予想できるが。

ウェットでの能力にも興味が湧く。セミスリック状態のピレリ・トロフェオRは、ドライ・コンディションでは素晴らしいグリップ力を発揮していたが、雨がちな英国のアスファルトは苦手なはず。実際に試してみたいところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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