準備着々のパサート級EV フォルクスワーゲンID.7 試作車へ試乗 航続最長700km 後編

公開 : 2023.04.16 08:26

若干曖昧なアクセルとブレーキの感触

高速道路の速度域では、高級車と呼べる洗練された印象が車内に広がる。風切り音は小さくロードノイズは遮断され、安定性も高く、リラックスして長距離移動をこなせるだろう。ただし、アクセルペダルの操作に対する速度上昇は、もう少し線形的でもいい。

ブレーキペダルを踏んだ感触は、少し曖昧に思えた。減速時にどれだけペダルへ力を込めれば良いのか、やや判断が難しい。発進・停止が多い市街地などでは、回生ブレーキが強くなるバッテリー・モードが適しているかもしれない。

後輪駆動らしい、流暢な操舵性は好ましい。ステアリングホイールにはフィードバックが殆ど伝わってこないものの、重み付けは丁度良く、コーナリング時の安心感も高い。ダイレクトにフロントノーズを導ける印象だった。

ホイールベースは長いものの、ID.7に後輪操舵システムは搭載されていない。にも関わらず、フロントタイヤのグリップ力は高く、アダプティブダンパーが素早く姿勢を制御し、意欲的に向きを変えていく。

サスペンションのストロークが長く、コンフォート・モードではしなやかな乗り心地に浸れるが、軽くない車重のためか上下動は少し大きめ。うねりを越えた場面など、揺れを1発で収めきれない場面もあった。細かな入力に対しては優秀だ。

BEVサルーンとして印象的な完成度に

試作車のID.7への試乗時間は限定的だったが、実用的なBEVサルーンとして印象的な完成度に達することは想像に難くない。高度に洗練された動的能力と、先進的なデジタル技術、不満ない航続距離を叶えることになるだろう。

パサートのように、価格価値での優位性は得にくいかもしれない。英国で支持を集めるのは、パサートのように使い勝手で勝るステーションワゴンになるだろう。それでも、一足先にやってくるサルーンを正式に味わえる日が待ち遠しい。

フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプのスペック

英国価格:約5万ポンド(約805万円/予想)
全長:4961mm
全幅:1862mm
全高:1538mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:6.0秒(予想)
航続距離:700km(予想)
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:約2000kg(予想)
パワートレイン:AC同期モーター
駆動用バッテリー:85kWh
急速充電能力:200kW(DC)
最高出力:286ps
最大トルク:55.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

準備着々のパサート級EV フォルクスワーゲンID.7 試作車へ試乗 航続最長700kmの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲン パサートの人気画像