「飛躍」な乗り心地とインテリア 新型フォルクスワーゲン・パサートへ試乗 9代目でエンジン最後?

公開 : 2024.03.15 19:05

内燃エンジン最後になると考えられる9代目パサート かつてないほど豪華なインテリア 
当面は150psガソリンの1.5LマイルドHV一択 英国編集部が評価

9代目で内燃エンジンは最後? ボディは拡大

50年以上に渡り、述べ3000万台以上が生産されてきた、フォルクスワーゲンパサート。実は同社のゴルフより1年早い、1973年の発売で、現在のラインナップでは最も長い歴史を有する。

9代目へモデルチェンジしたパサートは、内燃エンジンを積む最後の世代になると考えられている。同等クラスに相当し、サルーンとステーションワゴンを選べるフォルクスワーゲンID.7が登場したことで、恐らくそれは現実となるのだろう。

フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)

ちなみに、9代目はステーションワゴンのみ。サルーンは提供されない。

新しいパサートが基礎骨格とするのは、MQBエボと呼ばれるプラットフォームで、基本的には8代目の進化版。大幅に改良されており、リア回りは高剛性・低振動化のため再設計された。

それに伴い、ボディサイズも拡大している。全長4917mm、全幅1849mm、全高1497mmで、8代目から144mm長く、20mm広く、10mm低い。ホイールベースは、50mm伸びて2841mmとなった。

パワートレインは、ガソリン・ターボエンジンと、それがベースの各種ハイブリッド、合計8種類が用意される。インテリアは高品質で、モダンなデジタル技術と余裕ある空間が与えられている。生産は、スロベニア・ブラチスラヴァで行われる。

スタイリングは、紛うことなきパサート。間違いなく新しい印象を与えるものの、歴代へ通じる特徴も残された。

フロントグリル上端には、細いデイライトが伸びる。フロントバンパーはワイドにえぐられ、ブラック・トリムで覆われたエアインテークが口を開く。

かつてないほど豪華な内装 荷室も広々

ボディが拡大したことで、車内空間にはゆとりが生まれた。特にリアシート側は、前後長で50mm広くなっている。荷室容量は、先代から40L増しの690L。40:20:40に分割できる背もたれを倒せば、1920Lの空間が得られる。

パワーテールゲートは標準装備。フラットな荷室のフロアは低く、重い荷物も積みやすいはず。

フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・パサート 1.5 eTSI Rライン(欧州仕様)

インテリアは、かつてないほど豪華。ダッシュボードには、カラーを変更できる照明内蔵の化粧トリムが与えられ、素材も高品質。メルセデス・ベンツCクラスへ、大きく迫ったといっていい。全体的なデザインは、バッテリーEVのID.7へ通じる。

ダッシュボード上には、10.3インチのメーター用モニターと、12.9インチのインフォテインメント用タッチモニターが並ぶ。システムはフォルクスワーゲン・グループ最新のMIBが稼働する。人工知能を利用した、音声操作にも対応するという。

オプションで、タッチモニターは15.0インチへ拡大可能。試乗車には装備されていた。ヘッドアップ・ディスプレイも追加できる。

ステアリングホイールには、若干感度の悪かったタッチセンサーの代わりに、実際に押せるハードボタンが復活。エアコンの操作系は、タッチモニター下部へ集約されている。タッチセンサー式のスライダーは反応が良くなり、夜間は光るようになった。

シフトセレクターは、ステアリングコラムのレバー。スマートフォンのワイヤレス充電パッドや、USBポートなど装備は充実し、小物入れも大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲン パサートの人気画像