ロータリーの圧縮比は要確認 マツダRX-8 英国版中古車ガイド 観音開きのサイドドア

公開 : 2023.04.22 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

RX-8のようなモデルの場合、好印象な側面が多いにも関わらず、そうではない部分に目がゆきがち。加えて、RX-8には相反するような印象も混在してもいる。それでも魅力的なモデルだ。

パワートレインは優れているが、本来のパフォーマンスを引き出しにくい。スポーツカーながら、シャシーは低い速度域を好む。よく作り込まれたインテリアだが、ドライバーは少々居心地が悪い。

マツダRX-8(2003〜2012年/英国仕様)
マツダRX-8(2003〜2012年/英国仕様)

いくつかの妥協も求められる。しかし本当のクルマ好きには、訴求力の高いオーナー体験を与えてくれるはず。(2003年9月16日)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ピストンリングに相当する、ローターのシール部分が弱点。致命的な故障につながるため、圧縮比の確認は忘れずに。定期的なメンテナンスで、不具合は防げる。

英国の場合、RX-8のエンジンの半数は8万km未満でオーバーホールか交換が必要になった、というレポートもある。しかし、メンテナンスを怠らなければ16万km以上耐えるようだ。エンジンオイルの補充は1600km毎に必要だという。

マツダRX-8(2003〜2012年/英国仕様)
マツダRX-8(2003〜2012年/英国仕様)

外気が寒くても暑くても、2秒以内に始動するのが正常。試乗ではアクセルペダルを丁寧に傾け、パワーが落ち込むフラットスポットや、異音や振動が発生しないか確認したい。

低回転域で油圧が落ちると、エンジンのハウジング部分に取り付けられているステーショナリーギアの摩耗が進行し、リビルドが必要になる。内部にカーボンが蓄積しやすく、短時間の走行を繰り返すことも好ましくない。

電気系統

シートヒーターは、サイドボルスター部分のみが暖かく感じられる。ラジエタークーラントのレベルセンサーは故障しがちで、メーターパネルの警告灯を灯す。点火コイルが交換されていない場合は、予防的に新調しておきたい。

サスペンション

アンチロールバーのリンケージがへたると、凹凸を越えた時にコツコツと異音が出る。交換はさほど難しくない。

リアのサスペンション・スプリングは、腐食し折れることがある。不自然に車高が落ちていないか確かめたい。フロントのロアアームは、英国ではリコールが出されている。

ステアリング

ステアリングホイールを切った時にコツコツという感触が伴う場合は、ユニバーサルジョイントの劣化。パワーステアリングのアシスト量が安定しない場合は、センサーの異常かも。ラジエターホースから漏れたクーラントがかかり、不調を招くことがある。

ブレーキ

長期間放置されていた場合などは、ブレーキキャリパーが固着しがち。ディスクのサビも確かめたい。ブレーキの交換はそこまで高くないため、予防的にリフレッシュしたい。

ボディ

初期のRX-8は錆びやすい。2006年式以降で、コンディションの良い例を探した方がベター。外からは見えない部分や、ホイールアーチの裏側などの状態も確かめたい。荷室のフロアやサブフレームも錆びやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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