ワインディングでも秀抜な能力を披露

カーブへ積極的に侵入すると、2615kgある車重を常に意識させられる。ステアリングはクイックながら、感触は希薄といえる。とはいえ、絶対的な敏捷性は極めて高い。適度な重み付けとダイレクトな反応で、大きなボディを勢いよく導ける。

この機敏さに貢献しているのが、最大9度までリアタイヤの角度を制御する後輪操舵システム。重心位置が低いことと相まって、回頭性は積極的。負荷の推移も線形的に思えた。

コーナリング時のボディロールは、アクティブ・アンチロール機能が制御。特別仕様のミシュラン・パイロット・スポーツEVタイヤはグリップ力が非常に高く、驚くほどのコーナリングスピードを実現している。サイズは、275/40となる。

スタビリティ・コントロールの介入も巧み。そもそも、限界領域自体が非常に高い。

アクティブ・エアサスペンションの特性も、AMG独自のもの。アダプティブダンパーが組まれているものの、当然ながら乗り心地は硬め。それでも衝撃吸収性に優れ、ロードノイズも抑えられている。我慢を求められるほどではない。

極めて高速なAMG EQE 53 SUVは、チャレンジングなワインディングで秀抜な能力を披露してみせた。現代のバッテリーEVの水準では、という括りではあるとしても。エネルギー効率も悪くないようだ。

ただし、内燃エンジンを搭載したメルセデスAMGが味わわせてくれた、ドラマチックさやライブ感のようなものは薄い。このブランドらしい、体の芯へ直接響くような体験までは期待しない方がいいだろう。

メルセデスAMG EQE 53 SUV（欧州仕様）のスペック

英国価格：10万ポンド（約1750万円／予想）
全長：4863mm
全幅：1940mm
全高：1686mm
最高速度：220km/h（リミッター）
0-100km/h加速：3.7秒（3.5秒／AMGダイナミックプラス・パッケージ）
航続距離：374-470km
電費：4.3-4.5km/kWh
CO2排出量：−g/km
車両重量：2615kg
パワートレイン：ツイン同期モーター
駆動用バッテリー：90.6kWh（実容量）
急速充電能力：−kW
最高出力：625ps（686ps／AMGダイナミックプラス・パッケージ）
最大トルク：96.7kg-m（101.8kg-m／AMGダイナミックプラス・パッケージ）
ギアボックス：シングルスピード（四輪駆動）

画像　本気出せば爆発的な加速力　メルセデスAMG EQE 53 SUV　同クラスの電動SUVと比較　全142枚