訴求力が際立つ予感 メルセデス・ベンツEQE SUV 試作車へ同乗 AMG仕様は最大686ps

公開 : 2023.02.20 08:25  更新 : 2023.09.26 00:50

ドイツの名門が間もなくリリースする9番目のBEV。BMW iXのライバルになる中型SUVを、ひと足先に味わいました。

最も訴求力の高いモデルになる可能性

メルセデス・ベンツのバッテリーEV(BEV)戦略は、大きく2つの柱で進められている。フラッグシップとなる大型サルーンのEQSと、ひと回り小さいEQE、同じく大型SUVのEQS SUVという、EVAプラットフォームを土台にするラインがその1つ。

動力性能だけでなく、洗練性や高級感、エネルギー効率などを見事に両立させ、高い評価を得ている。面目躍如といったところだろう。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ

もう一方、内燃エンジン・モデルと共存する形の、EQAEQBEQCなどは、そこまで秀でた地位を築いてはいない。完成度は間違いなく高いといえるが、クラスをリードするほどの内容とはいえないと思う。

今回、助手席への同乗が許されたEQE SUVは、その前者に加わるモデル。既に英国での販売もスタートしており、価格は350 SUV 4マティックで9万560ポンド(約1458万円)から、500 SUV 4マティックは10万8760ポンド(約1751万円)からとなる。

少々高額ではあるが、同社のBEVラインナップを強固にすることは間違いなさそうだ。むしろ、これまでで最も高い訴求力を持つかもしれない。ドイツの南西、インメンディンゲンに位置するテストコースで味見した程度だが、そう感じた。

ステアリングホイールを握ったのは、同社の技術者。シャシー・チューニングを煮詰めるための、多彩なコースで体験させてもらった。

ライバルはアウディQ8 eトロンやBMW iX

EQE SUVがベースとするのは、EQSなどと同じBEV専用のEVAプラットフォーム。90.6kWhの駆動用バッテリーがフロア部分に敷かれる、いわゆるスケートボード構造で、駆動用モーターはサルーンのEQEと同じものが載る。

シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が用意される。ライバルは、アウディQ8 eトロンやBMW iX、ジャガーiペイスなどになる。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ

見た目は、最新のメルセデス・ベンツの流れに沿っている。フロントマスクはグロスブラックのパネルで覆われ、中央にスリーポインテッドスターが輝く。オプションで、そのロゴマークの細かなグラフィックを散りばめることも可能だ。

ボディ全体はEQS SUVと同様に柔らかなカーブを描き、グラスエリアも平滑化されている。サイドウインドウは5枚構成となる。

わずかに形状が異なるヘッドライトや凹凸の少ないクラムシェル・ボンネット、後方に向けて傾斜するルーフラインなどが、EQE SUVの個性を生んでいる。テールゲートも、だいぶ寝かされている。

全長は4863mm、全幅が1940mm、全高が1686mmというサイズで、EQS SUVと比べると262mm短く、19mm狭く、32mm低い。ホイールベースは180mm短く設定された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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