新世代に高性能仕様登場 フォード・マスタング・ダークホースへ試乗 500psのV8 NA+FR

公開 : 2023.08.15 08:25

抜群の乗り心地 リラックスした走りが似合う

今回、マスタング・ダークホースへ試乗したのは、アメリカ・ノースカロライナ州。北米仕様のままだったが、欧州仕様が大きく違わないことを祈りたい。

フォードの技術者によると、最高出力の違いはソフトウエアの設定によるものだという。欧州仕様のソフトウエアを北米仕様へ書き換えれば、500psを得られるのか質問してみたが、明確に否定はしなかった。

フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)
フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)

恐らく、フォードのディーラーではできないはず。だが、技術的には可能なようだ。

増強されたV8コヨーテ・ユニットは、小排気量ターボでは実現し難い低速トルクと、高回転域でのパワーの上昇を堪能させてくれる。ご近所への配慮を意味するグッドネイバー・モードを選んでも、心を震わせるノイズを放つ。

スポーティなモードへ切り替えれば、バルブが開きボリュームマックス。ストックカー・レーサーのような轟音に包まれる。

ステアリングは切り始めで若干曖昧だし、サーボが強すぎるのか、ブレーキペダルは感触を掴みにくい。操縦性が素晴らしいとは表現できないものの、6代目のマスタング・マッハ1と同様にドライビング体験は好印象だ。

磁性流体ダンパーは、抜群の乗り心地を披露。ポルシェとワインディングで張り合うことは難しいとしても、ゆったりしたシートに身を委ね、豊満な走りに浸れる。

シフトレバーは重めで、メカニカルな手応えがあり、ギアを選ぶという動作を満たす。スリリングさを求め過ぎず、V8エンジンをおおらかに回しリラックスして先を急ぐのが似合う。

現行ベストのハンドリング・パッケージ

広いサーキットなら、ドライバー次第でテールスライドに興じることも難しくない。派手なドリフトを前提に、ハンドブレーキは設計されたとか。

ドラッグレースに挑みたいなら、フロントブレーキをラインロックできるドラックストリップ・モードも用意されている。ブレーキはタフで、怒涛の加速を支える。根っからのクルマ好きが、根っからのクルマ好きのために設計したモデルだといえる。

フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)
フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)

今回の試乗では、ハンドリング・パッケージを装備したダークホースも用意されていた。インチアップされたホイールに、ピレリ・トロフェオRSのタイヤが組まれ、サスペンションも再調整。ネガティブ・キャンバーが強められる。

このパッケージが与えられたダークホースは、更に魅力的だった。グリップ力は高く、コーナーの頂点を意欲的に狙っていける。限界領域での落ち着きも秀抜で、余りの変容ぶりに高笑いしてしまったほど。

サーキットでの性能を比べると、通常のダークホースより旋回時は0.15Gほど上昇。ブレーキングも、0.21G鋭くなるという。

北米に住んでいれば、このパッケージを4000ドル(約57万円)で選べる。しかし、タイヤがフェンダーに迫りすぎているという理由で、当面は欧州に導入されないらしい。エンジンのソフトウエアのように、何らかの方法で解決して欲しいものだ。

恐らくダークホースのハンドリング・パッケージは、7代目マスタングの今ベスト。忘れられないほど素晴らしかった。

フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)のスペック

英国価格:約6万1000ポンド(約1104万円/予想)
全長:4818mm
全幅:1932mm
全高:1402mm
最高速度:270km/h(予想)
0-100km/h加速:4.0秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1768kg
パワートレイン:V型8気筒5038cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:500ps
最大トルク:57.6kg-m
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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