60年代風スポーツカーの会社が破産から復活 「マスタングEV」納車へ一歩前進

公開 : 2025.01.21 06:25

昨年経営破綻した英国のチャージ・カーズ社が投資家の支援を得て復活した。フォードから正式にライセンスを得て67年型マスタング・ファストバックのEVを開発したが、まだ1台も納車できていない。

1台も納車できずに経営破綻……からの新社屋建設へ

1967年型フォードマスタングのEVを製造する英国のメーカー、チャージ・カーズ(Charge Cars)社が、破産から約6か月を経て復活した。

匿名の投資家コンソーシアムの支援を受け、モデル「‘67 EV」の納車準備を整え、さらに新社屋を建設する。

チャージ・カーズ社が開発した「‘67 EV」
チャージ・カーズ社が開発した「‘67 EV」    チャージ・カーズ社

チャージ・カーズ社はフォードからライセンスを受け、1967年型マスタングの設計を基に電動スポーツカーの ‘67 EVを開発し、35万ポンド(約6670万円)で販売していた。多くの受注を獲得したが、1台も納車できないまま昨年7月に破産した。

破産の理由は「大きな問題」によるものとされている。エンジニアからプロジェクトマネージャーまで、50人ほどの従業員全員が解雇されたと見られている。

公式には確認されていないが、バッテリー、モーター、制御システムを共有する予定だった兄弟会社アライバルの数か月前の倒産が、主な問題の1つであったと考えられる。

新CEOに就任したポール・アバクロンビー氏は17日、声明を発表し、「コンソーシアムを代表して、チャージ・カーズの買収を発表できることを嬉しく思う」と述べた。

「‘67はEVの新たなクラスを確立する。今後は英国シルバーストーンに新設したグローバル本社で最終開発を加速し、この魅力的な高級車をいち早くお客様にお届けしていきたい」

「チャージ(Charge)ブランドは世界的に大きな可能性を秘めており、間もなく詳細をお知らせできることを楽しみにしている」(同氏)

チャージ・カーズ社は2016年にロシア人起業家のヴァディム・シャガリョーフ氏によって設立され、同じくロシア人のアライバル社CEOデニス・スベルドロフ氏が共同設立したキネティック・グループの傘下にあった。

従業員数はピーク時には85人に達し、2023年10月にはフォードから1967年型マスタング・ファストバックの「トレードドレス(商品のパッケージやデザイン)」の使用に関する正式なライセンスを取得した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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