【サーキット指向のポニーカー 】フォード・マスタング・マッハ1へ試乗 460psのNA V8

公開 : 2021.10.24 08:25

マッスルカーの代名詞、マスタングにサーキット・フォーカスのマッハ1が登場。余命わずかといえるNA大排気量エンジンを、英国編集部が一般道で味わいました。

最もサーキット・フォーカスな仕様

執筆:Tom Morgan-Freelander (トム・モーガンフリーランダー
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォードの関係者へ質問すれば、内燃エンジンを載せたマスタングも当面は生き延びることができると話す。しかし、欧州全体で提供されるモデルのすべてを、2026年までに純EVかプラグイン・ハイブリッド(PHEV)へ切り替える計画も進められている。

自然吸気V8エンジンの寿命は、残り数年間に限られていると考えざるを得ない。最新のポニーカーが素晴らしい完成度にあることを知ると、いささか残念な事実だ。

フォード・マスタング・マッハ1(英国仕様)
フォード・マスタング・マッハ1(英国仕様)

今回試乗したマッハ1は、昨年北米で発売されたGT350を置き換える高性能版マスタング。スタイリング・パッケージで飾っただけのモデルではない。

ボディにも手は入っているが、サスペンションやトランスミッションなども改良。フォードが公式に欧州市場へ導入したマスタングの中で、最もサーキット・フォーカスといえる仕様へ仕立てられている。

フロントマスクは、マッハ1専用のフロントスポイラーが凛々しい。サイドスカートの下部にもスプリッターが伸び、リアディフューザーが後ろ姿を引き締める。通常のマスタング比で、22%増しのダウンフォースを生み出すという。

空力特性を最適化させるよう、フロントバンパーもデザインし直された。通常のマスタングとの見た目の差別化は充分だろう。

シャシー側では、前後のサブフレームが専用品になり、マグネライド・アダプティブダンパーはマッハ1専用に再調整。サスペンション・スプリングとアンチロールバーも、より硬いものが組まれている。

全体的なバランスの良さに驚く

パワーアップに主眼は置かれていないとはいえ、自然吸気の5.0L V8エンジンもそのままというわけではない。インテークマニホールドは新しいものに置き換わり、最高出力はマスタングGTより11ps上昇。最高出力460ps、最大トルク53.8kg-mを発揮する。

増えた熱量に対応するべく、オイルクーラーとオイルフィルターもアップグレード。トランスミッションは、シェルビー社が供給する6速マニュアルを採用する。よりシャープに変速できるよう、レブマッチング機能とショートシフターも追加された。

フォード・マスタング・マッハ1(英国仕様)
フォード・マスタング・マッハ1(英国仕様)

内容にはかなり期待が持てる。発進させると、アップグレードの狙いが効果的に活きていることは明瞭。ステアリングにもマッハ1独自の調整が加えられ、人工的な重みを感じることなく、多くの感触が手のひらに伝わってくる。

確かに車重は軽くないし、フロントヘビーなことにも変わりはない。だが、全体的なバランスの良さには驚かされた。

アルミホイールは、フロントが9.5Jから10.5Jに、リアが10Jから11Jにワイド化。タイヤの接地面積を大幅に増加させている。ドリフトの角度より、タイムの短さにチューニングの軸があり、ネット動画で見るような派手なテールスライドへは持ち込みにくい。

とはいえ、まだまだヤンチャぶりは健在。ステアリングを深く切った状態でアクセルペダルを踏み込めば、グリップの限界はすぐに超えてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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