新世代に高性能仕様登場 フォード・マスタング・ダークホースへ試乗 500psのV8 NA+FR

公開 : 2023.08.15 08:25

自然吸気V8エンジンに6速MT、リアドライブのマッスルカー。新世代マスタングの高性能仕様を、英国編集部が北米で評価しました。

7代目マスタングに高性能仕様が登場

ボスにマッハ1、ビュレット、シェルビーGT350、シェルビーGT500。最近まで、フォードは6代目マスタングへ新しい仕様を提供し続けてきた。その姿勢は、世代交代しても変わらないようだ。新型マスタングに、早速ダークホースが登場した。

現在のところ、このダークホースは7代目では唯一となる、高性能なチューニング仕様。追って、シェルビーやマッハ1を名乗るマスタングも登場するだろう。

フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)
フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)

フォードは2022年にマスタングをモデルチェンジしたものの、基本的には大マイナーチェンジを受けた6代目と考えても間違いではない。プラットフォームは先代からの継投で、サイドシルエットや3本並んだテールライトなど、特長の多くを受け継いでいる。

インテリアはアップデートされているが、明確に豪華になったわけではない。メーターパネルからアナログメーターは姿を消し、ダッシュボードには大きなモニターが2面並んでいる。

2024年の初めにグレートブリテン島へやってくる、マスタング・ダークホースの英国価格は、約6万1000ポンド(約1104万円)が予想される。同時に英国で販売が始まる、通常のマスタングへ約1万ポンド(約181万円)の上乗せとなる。

エンジンは、自然吸気の5.0L V型8気筒のみ。2.3L直列4気筒ターボのエコブースト・ユニットは、英国では選べないようだ。

V8コヨーテ・ユニットは500psへ増強

ダークホースへ載るV8コヨーテ・ユニットの特徴となるのが、760psを誇った先代のシェルビーGT500用エンジンへ組まれていた、専用コンロッドを採用すること。高負荷にも耐えられるアイテムで、北米仕様の場合は486psから500psへ増強されている。

ただし、欧州仕様の場合は排気ガス規制によってパワーが絞られ、455psになる。悲しいことに、本国仕様の標準のマスタングにも届いていない。英国仕様で比べれば、10psパワフルではあるが。

フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)
フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)

トランスミッションは10速オートマティックの他に、通常のゲトラグ社製ではなくトレメック社製の、6速マニュアルも選択可能。より堅牢で、サーキット走行に適したギア比へ調整されているという。

パワーアップに合わせて、エンジンオイルとトランスミッション・フルードの専用クーラーも装備。リアアクスルには、トルセン式のリミテッドスリップ・デフが組まれる。

サスペンションは、磁性流体による可変ダンパーに、レートを高めたスプリング、剛性の高いアンチロールバーで武装。大径のホイールとブレーキも獲得しているが、これらはパフォーマンス・パッケージを選ぶことで、通常のマスタングにも装備できる。

果たして、自然吸気のV8エンジンをフロントに積み、MTを介してリアタイヤを駆動する2+2のクーペは、このマスタングが英国では唯一となってしまった。導入を決めたフォードに、筆者は大きな敬意を表したいと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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