新型のスズキ・スイフトが、今までのスイフトと“違う路線”なワケ

公開 : 2023.12.06 10:36

狙いは、走りのイメージ払拭か

現在の日本市場においては、スイフトが属するコンパクト・ハッチバックの購入者は、子育てが終わった、いわゆる“エンプティネスター世代”が中心になっている。

それでも、スイフト購入者の平均年齢は44.8歳と、他社競合モデルより約10歳も若いという。

新型スイフト・ハイブリッドMZ(216万7000円/フロンティアブルーパールメタリック/ブラック2トーンルーフ)
新型スイフト・ハイブリッドMZ(216万7000円/フロンティアブルーパールメタリック/ブラック2トーンルーフ)    山本佳吾

そしてスイフトは、「スタイルや外観」「走る(運転する)楽しさ」「足まわりの良さ」といった点は評価されているのだが、「安全運転を支援する機能」や「運転をラクにする機能」などが不足している、という意見が多いという。

スイフト=スイスポというわけではないのだが、スイフトというとスポーティな見た目や“走りのイメージ”が強くて、自分には合わないと購入しなかった人も多いらしい。購入者の平均年齢が若いのも、そのあたりに理由があるようだ。

そこで新型スイフトでは、年配の人たちはもちろん、免許を取って間もないZ世代にも受け入れてもらえるよう、気軽に使えるクルマを目指した。

商品コンセプトは、エネルギッシュ×軽やか「日常の移動を遊びに変える」洗練されたスマートコンパクトだ。

その特長として、
1. ひと目見たら印象に残るデザイン
2. 細部にまでこだわって進化させた走行性能・乗り心地
3. 日常運転の安心をサポートする先進の安全技術
4. 使い勝手のよい装備・パッケージング
が挙げられる。

簡単に言ってしまえば、デザインには軽快感を加えて、エネルギッシュで軽やかに。今まで鍛えてきた走行性能を進化させつつ、リラックスできる室内空間・安全装備を充実させ、日常の移動を遊びに変えることを目指しているのだ。

パワートレイン/グレード構成

新型スイフトはパワートレインも一新。新開発のZ12E型と呼ばれる1.2Lの直3 DOHCエンジンを搭載した。

グレード構成は上位から順に「ハイブリッドMZ」「ハイブリッドMX」「XG」までの3種類。

新型スイフト・ハイブリッドMZ(216万7000円/クールイエローメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ)
新型スイフト・ハイブリッドMZ(216万7000円/クールイエローメタリック/ガンメタリック2トーンルーフ)    山本佳吾

エンジンの最高出力は82ps/5700rpm、最大トルクは11kg-m/4500rpm。従来型のK12C型(直4の1.2L)より燃費性能を向上させ、低速から滑らかに上昇するトルク特性で街乗り走行での軽快感も実現している。

「MZ」「MX」はマイルドハイブリッド(モーター:3.1ps/6.1kg-m)も組み合わせているが、「XG」はエンジン車のみだ。

トランスミッションも新開発のCVTを組み合わせるが、MXの2WD(FF)では5速MT車も設定。駆動方式は、MXの5速MT車以外はFFと4WDが選べる。

「じつは、スイフトはスズキのクルマでは最も開発コストが厳しいクルマなんです」と、前述の小堀氏は語る。

実際、2023年上半期(4~9月)の新車販売台数では、スペーシアは5万7224台(軽自動車で3位)、ソリオは2万1394台(登録車17位)に対し、スイフトは1万2868台(登録車で27位、スイフト・スポーツ含む)。

スイフトよりも売れている軽自動車のスペーシアのほうが、開発コストはかけられるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。

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