2番目の量産車はSUV BMW XM プロトタイプへ試乗 4.4L V8のPHEVで750ps 後編

公開 : 2022.05.28 08:26

BMWの研究部門、M社独自となる高性能SUVの開発が進行中。英国編集部が試作車に乗り、その仕上りを予想しました。

BMW X7 M60と共通するインテリア

プロトタイプへの試乗が許された、BMW XM。リチウムイオンの駆動用バッテリーは専用品で、容量は約25kWh。リアシートの下側に3分割で搭載される。

エレクトリック・モードを選べば、最長80km、最高128km/hまでのエネルギーを賄うことができる。充電能力は、ACで7.4kWまで対応する。

BMW XM プロトタイプ
BMW XM プロトタイプ

インテリアもボディと同様に偽装されていて、実際を確認できなかったものの、全体的にはBMW X7 M60と共通していることは明らか。マルチファンクションのMスポーツ・ステアリングホイールやダッシュボード、スイッチ類などは同一だろう。

湾曲した大きなモニターに表示されるグラフィックは、XM専用のもの。高い位置のセンターコンソールには、シフトセレクターやスイッチ類が配される。

フロントシートはドライバーを包むようにサイドの立ち上がりが大きく、座り心地は良好。ドライビングポジションの調整域も広いと感じた。座面位置は低く、ライバルの高性能SUVよりスポーティな姿勢に落ち着ける。

乗員空間は開放的で、前後ともにゆとりがある。リアのベンチシートは、フロントより柔らかく快適。膝前の空間には余裕があるが、頭上はルーフラインの影響を受けていた。荷室フロアはフラットだが、ハイブリッド・システムを搭載する都合上、位置は高い。

オプションとして、プリズムルーフという間接照明付きの彫刻的な天井パネルを選べるらしい。試乗車にはカバーが掛けられていたけれど。

エンジンの質感を損なわず電動化技術が融合

説明が長くなったが、XM プロトタイプのステアリングホイールを握った第一印象は、パワートレインに関するものが中心。エレクトリック・モードを選んでいると、ほぼ無音で発進する。

高負荷時には僅かに電気的な唸りが聞こえてくるものの、低いスピードで走っている限り、控えめにタイヤノイズが車内に響く程度。駆動用モーターには、高速道路の速度域まで強力に加速させ、エンジンを巧みにアシストするのに不足ないパワーがある。

BMW XM プロトタイプ
BMW XM プロトタイプ

駆動用バッテリーの容量も大きめといえ、多くのユーザーは内燃エンジンを始動することなく、毎日の通勤を上質にこなせるだろう。こまめに充電ケーブルをつなげば。

とはいえ、BMW M社のSUVとして、4.4L V8ツインターボ・ガソリンエンジンを味わわない手はない。ハイブリッド・モードとスポーツ・モードを選ぶことで、圧倒的な動力性能に浸ることができる。

見事な回転フィーリングやパワーデリバリーを損なうことなく、電動化技術が融合している。発進加速は印象的なまでに鋭く、シフトアップを重ねても勢いは変わらない。この能力を完全に発揮するには、交通のまばらなアウトバーンが必要だ。

ザルツブルクリンク・サーキット周辺の一般道も運転させてもらったが、どんなクルマも追い越せそうな速さにすら思えた。8速ATには3段階の変速スピードが用意されるが、こちらはもう少し改良が必要のようだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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