2番目の量産車はSUV BMW XM プロトタイプへ試乗 4.4L V8のPHEVで750ps 前編

公開 : 2022.05.28 08:25

BMWの研究部門、M社独自となる高性能SUVの開発が進行中。英国編集部が試作車に乗り、その仕上りを予想しました。

成長の可能性を持つパフォーマンスSUV市場

BMWの車両研究や開発を担う、BMW M社。高い技術力を備え、広く認められた子会社だが、独自の量産モデルを生み出したのは過去に1度きり。スーパーカーのBMW M1のみだ。

くさび形の低いボディに、3.5Lの直列6気筒エンジンをミドシップし、1978年から1981年にかけて生産された。453台限定の、超レアで伝説的なモデルだ。

BMWコンセプトXM
BMWコンセプトXM

M1の復活は、何度もコンセプトカーなどで匂わされてきた。しかし、今まで叶うことはなかった。そんなBMW M社だが、近年は手掛けるモデルが多様化している。コンパクト・ハッチバックからSUVまで、Mという頭文字が与えられてきた。

そんな同社の将来を指し示すプロトタイプへ、今回は試乗が許された。2023年3月に発売が予定されている、BMW XMだ。

コンセプトカーに当たるBMWコンセプトXMが発表されたのは、2021年11月。BMWの大型SUV、X7がベースとなり、アメリカ・サウスカロライナ州にあるスパルタンバーグ工場で、2022年12月から生産が始まる計画にある。

X7との最大の相違点が、パワートレイン。XMには、BMWの量産車として過去最高の出力を発揮する、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のみが搭載される。

BMW M社のCEOを務めるフランク・ヴァン・ミール氏は、次のように説明する。「SUVを選んだのは、ロジカルといえます。パフォーマンスSUVは、世界最大のセグメントになりました。さらなる成長の可能性を持つセグメントでもあります」

あらゆる角度で個性的なスタイリング

オーストリアのザルツブルクリンク・サーキットで初めて目の当たりにしたXMは、X7より全体的に小ぶりなことに驚いた。全長と全高が数センチ小さい程度とはいえ、BMW最大のSUVというわけではない。

視覚的な大胆さは、X7から受け継いでいるようだ。写真のとおり厳重にカモフラージュされていたが、近年のBMWで共通するスタイリング要素を、より明確化したものになるという。

BMW XM プロトタイプ
BMW XM プロトタイプ

昨年のコンセプトカーの段階では、8角形の巨大なキドニーグリルが、大胆な造形のフロントバンパーへ覆いかぶさるようにレイアウトされていた。かなり斬新なルックスだと感じられたが、どう量産化されるのか興味深い。

先日モデルチェンジした7シリーズや、フェイスリフトを受けたX7と同様に、フロント側のライトは上下に2分割されている。上側がスリムなLEDデイライトで、下側がメインのヘッドライトとなる。

リアに向けて傾斜するルーフラインが、スポーティさを強調している。ヴァン・ミールの話では、フロントまわりと同様に、スタイリングはあらゆる角度で個性的なものになるという。

アルミホイールは、22インチと23インチもラインナップされるということだが、試乗したプロトタイプは21インチを履いていた。充分大径だが。

側面には大きなドアが2枚づつ。テールゲートも巨大で、実用性は優れるに違いない。充電ポートは、左のフロントフェンダーに用意されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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