フルサイズSUVが大胆マイチェン BMW X7 M60iへ試乗 M仕様にMHV 4.4L V8エンジン

公開 : 2022.09.10 08:25

BMW最大のモデルとなるX7が中期のフェイスリフト。大胆な変更で、訴求力を大幅に増したと英国編集部は評価します。

過去事例より大胆なフェイスリフト

BMW最大の量産モデル、SUVのX7がモデル中期のフェイスリフトを受けた。過去の多くの例より、大胆に手が加えられている。導入から3年余りだが、大幅に新鮮味を増すことになった。

1番注目を集めるポイントといえるのが、新しい7シリーズとイメージを重ねたフロントマスク。切れ長なヘッドライトと大きなキドニーグリルだろう。フラッグシップとなるM60i xドライブの場合、そのグリルには電飾も埋め込まれる。

BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)
BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)

今回の変更に合わせて、23インチ・ホイールもオプションで指定が可能になった。ここまでの大径は、BMWの純正としては初となる。

MスポーツとMスポーツ・プロという、スタイリング・パッケージも導入されている。専用バンパーとブラックのトリムなどで、通常のX7と差別化できる。今回の試乗車にも装備されていた。

インテリアも刷新されたといっていい。ダッシュボードはデザインし直され、バッテリーEVのiXと同様の湾曲したワイドなモニターパネルが鎮座する。

中央側のインフォテインメント用は14.9インチのタッチタイプ。ドライバー側のメーター用でも12.3インチある。システムは、最新のiドライブ8で稼働する。

エアコンの操作パネルはなくなり、タッチモニター側へインターフェイスが集約された。正直なところ、その操作は面倒といっていいだろう。

車内空間は変わらず広大。3列シートで6シーターか7シーターを選択でき、実用性で困ることはないはず。ただし、3列目を使える状態にすると、荷室は300Lしか残らないのでご注意を。

マイルドHVの新エンジンでパワーアップ

パワートレインには、BMW最新となる3.0L直列6気筒のガソリンターボとディーゼルターボが導入された。どちらも電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーターが組み合わされたマイルド・ハイブリッドで、動力性能とエネルギー効率を高めている。

ガソリンのX7 xドライブ40iの場合、最高出力は50ps増しの380psへ向上。最大トルクも7.1kg-mほど増えて、54.9kg-mになっている。ディーゼルのxドライブ40dは12psと2.0kg-m増え、352psと73.2kg-mを獲得した。

BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)
BMW X7 M60i xドライブ(北米仕様)

今回試乗したM60i xドライブは、従来のM50i xドライブを置き換える仕様。最新のS68型V8エンジンを採用した、初めてのモデルとなる。N63型ユニットの進化系で、4.4Lのツインターボだ。

最高出力530ps、最大トルク76.3kg-mという額面は変わらないものの、こちらもマイルドハイブリッド化されている。電圧48Vで稼働し、加速時に12psと20.4kg-mを加勢してくれる。

このV8エンジンはとても滑らかで、長距離クルージング時の安楽さと、ゆとりのある魅力的な印象をX7へ与えている。高負荷時には極端なほどのパワーを発揮しつつ、洗練されマナーは極めていい。

V8エンジンらしいサウンドも魅力。車内は高い遮音性で仕立てられているものの、スポーツモードで聞こえてくる図太い唸りには、思わず笑みがこぼれてしまった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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