2番目の量産車はSUV BMW XM プロトタイプへ試乗 4.4L V8のPHEVで750ps 後編

公開 : 2022.05.28 08:26

感銘を受けるほどの姿勢制御のマナー

プロトタイプの段階とはいえ、重み付けや正確性、感触まで、ステアリングフィールは有能なスポーツサルーンに迫る。コーナーでの敏捷性は、従来のMを冠したSUVの比ではない。思わず、運転へ夢中になってしまう。

ボディサイズは決して小さくないものの、操舵に対する反応の精度は抜群で、不安感なくコーナリングできる。かさむであろう、車重すら覆い隠しているようだった。

BMW XM プロトタイプ
BMW XM プロトタイプ

そして最も感銘を受けたのが、姿勢制御のマナー。電圧48Vで作動する、新開発となる電子制御のロール・スタビリティ・システムを搭載している。

スポーツ・モードでも高速コーナリング時は、ある程度のボディロールが生じるものの、相当に攻め込んでも過大に傾くことはない。フロントノーズが上下する、ピッチングも抑え込まれていた。

さらに、後輪操舵システムのインテグラル・リア・ステアも採用。ソフトウエアは独自ながら、従来と同様に最大2.0度までリアタイヤの角度を調整し、意欲的な旋回と脱出加速へ結びつけている。

直進状態からステアリングホイールを切り込むと、シャシーは滑らかでダイレクトに反応。フィードバックの量も豊かで、技術力の高さをうかがわせる。リアシートの下に搭載された駆動用バッテリーは、低重心化にも貢献している。

XMの成功は疑いようがない

BMW M社が進化させた、四輪駆動システムのxドライブと、ピレリPゼロタイヤとのタッグも強力。秀でたグリップ力と、確実なトラクションへと結びつけている。タイヤサイズは、22インチの場合でフロントが275/40、リアが315/35となる。

サスペンションは、前後ともにエアスプリング。ベースには一定の硬さがあり、素晴らしい姿勢制御を叶えつつ、衝撃の吸収性にも優れる。ただし、まだ開発途中ということで、コンフォート・モードでの処理はもう少し調整が必要そうだ。

BMW XM プロトタイプ
BMW XM プロトタイプ

とはいえ、アダプティブダンパーが路面状況の変化へ即座に反応し、粗野な衝撃を驚くほど打ち消していた。生産開始までの6か月間で、さらに磨き込まれるであろうことは想像に難くない。

価格設定はこれから。だが、X6 Mコンペティションの英国価格12万1620ポンド(約2031万円)より、大幅に高くなることは間違いないだろう。

同社のCEO、フランク・ヴァン・ミール氏によると、XMの主要市場は北米と中国、中東地域を想定しているとのこと。だが、英国市場の需要が高いことも認知しているそうだ。

完成前のプロトタイプへの試乗だったとはいえ、BMW M社2番目の量産モデル、XMの成功は疑いようがないと筆者は感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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