デジタル技術好きなら共感できる? ハイファイ Zへ試乗 走りの差別化が欲しい

公開 : 2023.08.08 08:25

まもなく欧州での販売をスタートさせる中国の新興メーカー、ハイファイのZ。その実力を英国編集部が評価しました。

中国以外では難しいブランドの急成長

中国の技術企業、ヒューマンホライゾン社が擁するハイファイは、注目すべき新興メーカーの1社に加えられる。高級車ブランドを新たに生み出すという目標を掲げ2017年に創業し、既に3番目の量産モデルが完成間近にある。

現在のハイファイはバッテリーEVの上級モデルを2車種提供しているが、中国市場での該当カテゴリーでは、25%という高いシェアを獲得しているそうだ。実際のところ、自国でのニーズは高く、輸出する必要性はあまり高くないらしい。

ハイファイ Z(欧州仕様)
ハイファイ Z(欧州仕様)

自動車業界の従来的な概念では、驚くほどの急成長だといっていい。恐らく、中国以外では達成が難しいスピード感だろう。

「中国でわたしたちを支持する主な層は、アップルではなくファーウェイのスマートフォンを好むような、若い人たちです。彼らは、西洋のモノが1番という考えが必要ないと気付きはじめています」

「それでも、われわれが目指すところは、世界的なブランドとして認められる立場になることです」。と、同社の最高技術責任者を務めるマーク・スタントン氏が話す。ちなみに彼は、JLR(ジャガーランドローバー)の上級幹部に在籍していた経験を持つ。

ツインモーターで672ps 航続距離は555km

ハイファイは2023年9月から、欧州市場で量産車の販売をスタートさせる。真っ先に選ばれた国は、ノルウェーとドイツ。2025年までに右ハンドル仕様を準備し、英国でも提供が始まるという。

当面は中国市場と同様に、今回試乗した「Z」と、大型クロスオーバーの「X」の、2車種での展開となる。数年以内に安価な「Y」が発売予定だというが、それまでは欧州でのシェアは限定的なものだろう。

ハイファイ Z(欧州仕様)
ハイファイ Z(欧州仕様)

とはいえ、現地では2022年から販売されているZは、注目に値する。ちなみにゼットではなく、ズィーと発音して欲しいらしい。駆動用モーターを前後に1基づつ搭載し、最高出力は672ps。航続距離は、WLTP値で555kmがうたわれている。

Zの全長は5036mmあり、全幅が2018mm、全高は1439mmと大柄。4ドアのシューティングブレークで、日本の漫画に登場するメカのような大胆さと、BMWのiシリーズから影響を受けたような処理が、スタイリングに展開されている。

ハイファイは、未来の自動車にとってデジタル技術が重要な役目を担うと考えている。それが、視覚的に表現されたともいえるだろう。ただし、デザインのまとまりは今ひとつで、LEDがボディサイドなど随所に散りばめられ、おもちゃっぽく見えなくもない。

新興メーカーとして、突出した個性や特徴を備える必要性があることも理解はできる。新しいブランドだと、周囲に主張する必要がある。それでも、ポルシェタイカンは美しく感じられても、Zがそうだとはいえないと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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