谷保天満宮旧車祭2017 200台のクラシックカー 交通安全祈願発祥の地に

2017.12.03

100年以上前に日本初のツーリングとクラブミーティングが開催されたという東京都国立市の谷保天満宮。我が国のクルマ趣味の故郷ともいえる地で、今年も谷保天満宮旧車祭が開催されました。今年で9回目となるこのイベント、今やすっかり地域に根ざしたお祭りとして受け入れられているようです。

text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)

日本の自動車文化が生まれた地に旧車が集う

東日本で最も古くからある神社のひとつ、国立市の谷保(やぼ)天満宮で、12月3日に旧車たちが集うイベント「谷保天満宮旧車祭2017」が開催された。学業の神である菅原道真公を祀る同神社はまた、交通安全祈願発祥の地でもある。それは今から109年前の明治41年8月1日に、「自動車の宮様」として名を馳せた有栖川宮威仁親王が、初の国産ガソリン車タクリー号をはじめ当時はまだ大変珍しいものであった自動車11台で隊列を組み、日比谷公園から谷保天満宮までの道程で我が国で最初の「遠乗会」(ツーリング&クラブミーティング)を催したという史実に端を発する。谷保天満宮に到着した宮様御一行は境内の梅林にて昼食会を開き、参加した各界の有力者たちと来たる自動車の時代について語り合い、我が国初の自動車クラブとなる「オートモービル・クラブ・ジャパン」(ACJ)の創設が宣言された。


日本の自動車文化の生まれ故郷である谷保天満宮とそのヒストリーを後世に伝えることを目的としたこのイベントも、すでに9回目の開催となった。谷保天満宮とJR国立駅を中心としたエリアに3つの会場(天満宮境内、JA東京みどり、富士見台駐車場)を設け、合計で約200台ものクラシックカーが展示されたが、その全てが観覧無料となっており、地元の方々はもちろん数多くの一般来場者で賑わった。

格調高くも肩肘張らない フレンドリーなイベント

このイベントの面白いところは単に旧車が並べられているカーショーに終始しないところだろう。地元の子どもたちによるタクリー号御輿や展示車両の安全祈願、発動機愛好家による運転会、そして昭和のレトロな観光バスによるシャトルバス運行や参加車両が大学通りを埋め尽くすパレードラン「近乗会」など、地元国立との一体感を大切に工夫されたイベント運営が心がけられており、他から訪れたギャラリーでもこの街を含めて楽しめるようになっているのだ。


実際、14時から行われた近乗会では、道行く名車たちに向けて沿道から「カッコイイ!」「最高ですね!」といった賛辞が飛び、それに車両オーナーが応えるシーンなども見受けられ、非常に心温まる風景であった。地元のお祭りのような気分で旧車を楽しめる希有なイベントとして、この谷保天満宮旧車祭は実に魅力的で意義ある存在に育った好例といえるだろう。

■谷保天満宮旧車祭 公式サイト
■谷保天満宮
■オートモービル・クラブ・ジャパン

 

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