ピュアな運転体験へ没入 グラディエーター 10HP(2) 家族を結びつけるクラシック 「ガソリン車が走り続けられる限り、受け継がれて欲しい」
公開 : 2026.05.10 17:50
生産から123年目を迎えた、グラディエーター 10HP。76年前に購入したティミス家は、手を加えながら毎年ベテランカー・ランへ挑んでいます。家族を結びつける旧車へ、UK編集部が試乗です。
もくじ
ー76年前は悲惨な状態にあった10HP
ー有名ではなかったイベントへ注がれた情熱
ー寒くて凍ったラジエター・ポンプを溶かすために
ー現代と同じペダル配置で戸惑いは少ない
ーピュアな運転体験へ没入できる
ーグラディエーター 10HP リア・エントランス・トノー(1902~1903年/英国仕様)のスペック
76年前は悲惨な状態にあった10HP
グラディエーター 10HP リア・エントランス・トノーのフロントには、4灯の真鍮製ライト。コイル状にフィンが並んだラジエターの両端で前方を照らすのは、パウエル&ハンマー社製のモーターヘッドランプだ。
ホイールは木製の10スポーク。美しいラインの中心に、グラディエーターのロゴがあしらわれる。ボディ両端には、優雅にカーブを描くマッドガード。木材と金属が用いられたシャシーのサイドメンバーが、その奥でチラ見えする。実に美しい姿だと思う。

しかし、ロールス・ロイスの技術者だったハワード・ティミス氏が購入した76年前は、悲惨な状態だったとか。クラシックカーレースのロンドン・ブライトン・ベテランカー・ランへ参加する目的で、グレートブリテン島南西部のブリストルで発見したらしい。
前オーナーはレストアで分解したものの、やる気を失い放置していたとか。父とトラックで引き取りに向かった休日を、10代だった息子のリチャード・ティミス氏は振り返る。エンジンやシャシーはオリジナルだったが、多くの部品は消失していた。
有名ではなかったイベントへ注がれた情熱
それでも、南アフリカのグラディエーター・オーナーと交友があり、助言を受けられた。自宅の隣人がグラディエーターの残骸を所有しており、部品の一部は補われた。
ボディは職人によって復元され、シャシーはアッシュ材で再現。オリジナルと同等のキャブレターが、エンジンに載った。ロールス・ロイスのワークショップでは、もと上司のカール・パーキンソン氏の協力で、トランスミッションのリビルドが進められた。

76年前、ベテランカー・ランは現在ほど有名なイベントではなかった。それを考えると、彼の情熱には尊敬の念を抱かずにいられない。今でも、マニアックなお祭りだが。
寒くて凍ったラジエター・ポンプを溶かすために
数世代に渡ってグラディエーター 10HPが受け継がれることになるとは、ハワードも予想していなかったようだ。初めは、親子で挑んだロンドン・ブライトン・ベテランカー・ランだが、回を重ねる毎に関わる家族は増えていった。彼の孫、ひ孫と。
息子のリチャードが、初めてイベントに参加したのは1954年。ランドローバーが引くトレーラーに積み、スタート地点へ向かったという。

孫のナイジェル・ティミス氏が話す。「最初の頃は、空気圧が合わずパンクが頻発。寒くて凍ったラジエター・ポンプを溶かすのに、用を足して走ったこともありました」。これまで、完走できなかったのは4回だけだという。
一家の奮闘で、1950年代にはほぼ忘れ去られていたグラディエーター 10HPの存在も、知られるようになった。初代オーナーが、WGウーリアムズ氏だということも判明した。
























































































































