追求したのは「リアル性能」現場で使える軽商用EV 三菱ミニキャブEV

公開 : 2024.04.10 11:00

商用軽バンとBEVとの相性の絶妙さ

EVで最大の懸念点となるのが、その航続距離だろう。「ミニキャブEV」の一充電当たりの航続距離はカタログスペックで180km。

軽商用バンのドライバーのうち77%が1日あたりの走行距離が65km未満というデータ(三菱自動車調べ)もあるし、軽商用バンの主な仕事は、近距離での配送だ。そのような使い方であれば、100kmを超える航続距離があれば、不安はないはずだ。

ただし、実際にはエアコンを使うと、その距離は大きく変化する。そこで頼りにするのがメーターの右側の窓に表示される航続可能距離だ。リアルに「ミニキャブEV」を仕事で使う人は、この航続可能距離をにらみながらクルマを走らせることになるだろう。

とはいえ、基本的に商用軽バンとEVは、非常に相性のよい組み合わせだ。EVは、低速トルクが大きく、静粛性に優れ、止まっているときにアイドリングをしない。街中を朝から夜まで走り回っても、うるさくないというのは、配送業にとってのなによりの美点だろう。

また、使わない夜の駐車時間に充電できるのもEVのメリットだ。ミニキャブ EVは、標準装備の「普通充電」と、オプション設定で「急速充電」を装着すれば2種類の充電方法を利用できる。
「普通充電(200V/15A)」は、約7.5時間で満充電、「急速充電(最大出力60A以上の場合)」では、約42分で8割を充電可能。給油のためにガソリンスタンドに行く時間が必要ないので、それだけ業務時間が短くなるからだ。

クルマの電動化は、地球のためのカーボンニュートラルという大きな目標がある。けれど、配送業に商用軽EVを使うのは、もっと身近な、わかりやすいメリットがある。走りが良く、静かで、給油の面倒がないというわけだ。

地球のためだけでなく、働く人のために役立つ存在。それが「ミニキャブEV」の存在価値だろう。

三菱ミニキャブEV 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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