ジャガーF-ペース

公開 : 2016.06.13 21:50

パワートレイン

F-タイプ、XE、XFで培った最新テクノロジーが、ブランドの名にふさわしいパフォーマンスをジャガーF-ペースに与えた。

エンジンラインナップは、インジニウムの名で知られるジャガー自社開発のオールアルミ構造クリーン・ディーゼルエンジン(左)と、高いパフォーマンスを誇るガソリンエンジンを用意。

ディーゼルモデルは、180ps、43.8kg-mを発揮する2.0ℓ直4ターボ・エンジンを採用(ピュア、プレステージ、R-スポーツの3車種)。先代エンジンと比較して20kgの軽量化と17%の摩擦低減を実現した最新世代パワートレインだ。

ガソリンモデルは、2シータースポーツのF-タイプと同じオールアルミ製3.0ℓV6スーパーチャージド・エンジンを搭載。340ps、45.8kg-m(R-スポーツ)と380ps、45.8kg-m(S)という2種類の構成になっている。380ps仕様の0-100km/h加速タイムは、AUTOCARのテストで5.5秒というパフォーマンスを記録した。

全車種ともにトランスミッションはパドルシフト付き8速オートマティックで、駆動方式は4輪駆動。

AWDシステムは、セントラル・トランスファーボックス・クラッチとフロント・ディファレンシャルで構成されるインテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス(IDD)を採用した。これは、ヨーセンサーおよびAWDのECUと連動し、オーバーステアやアンダーステアを感知すると、即座に適切なパワー伝達をしてトラクションの回復と車両コントロールを可能にする。通常はFRとして駆動させ(前10:後90)、路面状況に応じてフロントにパワーを送る(前90:後10)仕組みである。

ドライブコントロールは、スポーティなダイナミックモード、燃費を向上させるエコモード、滑りやすいコンディションでグリップを高めるレイン・アイス・スノーモードをボタン操作で選べる。

JC08モード燃費はディーゼルが15.8km/ℓ。ガソリンが10.1km/ℓ。インジニウムディーゼルの排出ガス浄化システムは、AdBlue®を排気ガスに噴霧する方式だ。

シャシー&ボディ

チーフエンジニアのマイク・クロスは初めてのSUVモデルの開発ついて、「F-ペースはクロスオーバーであり、スポーティな外見のジャガーでもあります。だからハンドリングは妥協できませんでした」と語っている。

彼は、機敏なレスポンス、豊かなグリップ、しなやかな乗り心地を、ジャガーの走りのDNAとして挙げている。この三要素を併せ持つSUVに仕上げられたキーが、ジャガー最新のD7aプラットフォームである。

D7aは、XE、XF、F-ペースの3モデルで共用されるアルミニウム製のアーキテクチャーだ。高い剛性を確保しながらFペースの車両重量をディーゼルモデル1920kg、ガソリンモデル1980kgに抑えることに成功した。

XEより40mm拡大されたホイールベースは2875mm。乗車定員は5人で、とくに後席は大人3名が快適に過ごせる空間を持っている。荷室容量は650ℓでクラストップの広さだ。

ボディの20%は、アルミより軽く強度も高いマグネシウムを採用しているが、これは歩行者保護や重心を下げるための判断だ。また、テールゲートには樹脂パネルを用い前後重量配分を50:50とした。最低地上高は215mmを確保している。

サスペンションは、前:ダブルウィッシュボーン、後:インテグラルリンクで、XEおよびXFと基本ジオメトリーは同じだが、リンク方式、スプリングレート、ダンパーレート、ダンパーカーブのチューニングが全く異なる。

ステアリングは、電動パワーアシスト式(EPAS)で、必要なときのみ作動し、燃料消費を抑制する。 マイク・クロスは、ロールセンターが高くなるSUVといえでも、ジャガーのDNA、つまりF-タイプの走りと同じ素質を持つべきだと考えている。

F-ペースのトルクベクタリング・システムが、F-タイプ(AWD)用に開発されたものであることがそれを裏付けるだろう。内側の前後輪にブレーキをかけることで、きついカーブでも思い通りに曲がるコーナリング性能が、AUTOCARのテストでは高い評価を得ている。

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