先代メルセデス・ベンツGクラス 惜別の辞 3カ月をともに過ごして

2018.09.01

設計は40年前 それでも運転を楽しめる

まず、価格が非常に高く、オプション装着前のディーゼルエンジンを積んだベースモデルでさえ9万2025ポンド(1338万円)もする。さらに、G63 AMGを選べばその価格は13万6020ポンド(1978万円)に跳ね上がる。もちろん、購入しようとしているのは特別なSUVだが、その設計は40年前に遡り、フロントと比べても何もないリアシートに座っていると、荒れた路面ではまるで中世の木造船に乗っているかのような軋み音さえ聞こえてくる。

その乗り心地は控え目にいってもゴツゴツとしたもので、ハンドリングも正確さに欠ける。パフォーマンスも大したことはなく、燃費は良くても8.9km/ℓだが、それも本当に好条件がそろった時だけだ。

もちろん、家族はこのクルマを気に入っていて、わたし自身、いまではGクラスよりも欲しいと思えるモデルなどほとんど思いつかないが、一方で、それが物珍しさからくるものであり、時が経てば変わってしまうかも知れないものだという事も理解している。さらに、Gクラスのデザインは、クールに見せようとなどしていないにもかかわらず、その実用性を突き詰めたが故に結果的にクールに見える素晴らしいものだが、それも実生活では直ぐに飽きてしまうかも知れない。


だが、実際はそうではない。もしかしたら1年後、そのオンロード性能にうんざりし始めるかも知れないが、少なくとも3カ月では決してそんなことにはならなかった。それどころか、Gクラスでもっとも素晴らしかったのは、最近のクルマではありえないほどの一体感をこのクルマが求めてきたことだった。

相応しい道でこのクルマを上手く走らせるには、慎重な運転が必要だ。これほどの重量をもちながら、どんな条件でも運転することのできるクルマなど他に知らないが、Gクラスはコーナリングマシンではないのだから、このクルマでコーナーに突っ込んだりしてはいけない。

それでも、指先でステアリングを調整しつつ、よろめくシャシーが許す程度の正確さでラインをトレースしてやれば、その見かけからは信じられないくらいの活発さをGクラスは発揮する。そして、このクルマなりの方法であれば、運転を楽しむこともできるのだ。

 
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