4モーターで587馬力! Gクラス初のEV「G580」世界初公開 メルセデス・ベンツ “最強” オフローダー誕生

公開 : 2024.04.25 06:25

メルセデス・ベンツが新型「G580 with EQテクノロジー」を公開した。Gクラス初の完全電動モデルで、0-100km/h加速5.0秒以下、航続距離473km、エンジン車よりも優れたオフロード性能を誇る。

空力ボディの完全電動モデル

ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツは4月24日、GクラスのEV版となる新型「G580 with EQテクノロジー」を米国と中国で同時公開した。

これまでEQGという名で呼ばれてきたが、量産型ではエンジン車ベースのEVという立ち位置を反映した、やや長い名称となっている。

メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    メルセデス・ベンツ

エクステリアデザインはディーゼルのG450dなどとよく似ているが、独自形状のAピラーやボンネット、ルーフ前面のスポイラーリップにより空力効率を高めているほか、フロントグリルや「EQ」バッジの装着など、さまざまな違いが見られる。

空気抵抗係数を表すCd 値はG450dの0.48から0.44に低下している。なお、先代Gクラスは0.53だった。

また、テールゲートに取り付けられたスペアタイヤホルダーは、同様のスタイルの充電ケーブルホルダーに変更することができる。

4本の車輪を個別制御

Gクラスの電動パワートレイン開発責任者であるマニュエル・ウルステッガー氏は、「GはGのままです。デザインやサウンドだけではありません。パワートレインは妥協のないオフロード性能を提供します」と述べている。

G580には4基の電気モーターが搭載され、各車輪を個別に駆動する。モーター出力は1基あたり147ps(108kW)で、合計出力587ps(432kW)、最大トルク118.7kg-mを発生する。

メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    メルセデス・ベンツ

モーターはG580のために専用開発されたもので、4基にそれぞれ独立の2速トランスミッションを備えている。異例なまでに複雑なパワートレイン構成だが、これはGクラスの厳しい仕様要件を満たすためのものであり、G以外のラインナップでは使用されないという。

「厳しいプロジェクトでしたが、目標はすべて達成しました。オフロードでは内燃エンジンのGよりも優れています」とウルステッガー氏は言う。

フロントサスペンションは従来と同じ独立懸架式で、リアには電気駆動ユニットを内蔵した新しいリジッド・アクスルが採用されている。機械式ではなく “仮想” のディファレンシャル・ロック機能を備え、優れたトルク・ベクタリングを実現するという。

0-100km/h加速タイムは5秒以下、最高速度は180km/h。

エンジン車を超えるオフロード性能

動力性能において最も重視したのはオフロード性能だ。ローレンジのトランスミッションを搭載しており、適切な路面では最大100%の勾配追従性を発揮するとされる。

車軸間の最低地上高は250mm、アプローチアングル32度、デパーチャーアングル30.7度、ブレークオーバーアングル20.3度で、最大渡河水深850 mm(従来モデルより100mm深い)、最大35度の側方勾配での走行が可能だ。

メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー    メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツによると、内燃エンジンのGクラスに劣る唯一のオフロード性能は最低地上高で、G450dよりもわずかに低いという。

さらに、オフロード走行を支援する3つの独自機能が用意されている。その場で最大2回の360度旋回が可能な「Gターン」、モーターの個別制御により旋回半径を最小化する「Gステアリング」、そして上り坂や下り坂で最大2km/hの低速走行が可能なオフロードクロール機能だ。

また、フロントカメラを使って前方の路面状況を車載スクリーンに映し出す「トランスペアレント・ボンネット(透明ボンネット)」機能もある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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