海外試乗

2019.04.20

狙い過ぎたマツダ・ロードスターのライバル BMW Z1とロータス・エランS2

BMW Z1/ロータス・エランS2(M100)

文・グレッグ・マクレマン 

前輪駆動の課題に向き合った新開発ウイッシュボーン

たとえブレーキを強く踏み込んでも、優れたZアスクルのおかげで、ボディが激しく沈み込んだりノーズダイブすることもない。加えてストローク時のホイールアライメントも維持し、キャンバー角やトー角は適切に保たれる。その結果、路面が荒れていたり轍がひどい場合でもタイヤの接地性が担保され、乗り心地やハンドリングをBMWらしい良質なものにしている。トリッキーなスライドドアを積んだことによるボディの重量増の悪影響も、最小限に留めているといえる。

新車当時のAUTOCARのロードテストの評価も高かった。1989年にドイツの南西部のホッケンハイム・サーキット周辺でテストしたインプレッションでは、「シャシーの動力性能は、記憶にあるクルマの中でも屈指の仕上がり。ランボルギーニ・カウンタックやアウディ・クワトロ、ロータス・エスプリですら霞んでしまう」と記されている。このロードテストは、1989年のAUTOCAR8月号の表紙を飾ったロータスのニューモデルM100型エランを試乗する前のこと。

気になることといえば、主にドイツ市場を意識して生み出された都合で、左ハンドルしか選べなかった点。高まるエンスージャストの気持ちとは裏腹に、生け垣が迫り、道幅はより狭く感じるだろう。しかも収穫期になると大きなトラクターがセンターラインを割って走るから、ヒヤヒヤしてしまうのだった。

一方で、息の長いエスプリやBMW Z1とは異なり、M100型エランはロータスとして初めての前輪駆動モデル。これまでの経験とは異なるものが要求されたはず。しかし、他のメーカーが前輪駆動ならではのトルクステアやエンジンの振動、サスペンション設定に悩む中で、ロータスのエンジニア、ロジャー・ベッカーは解決策を見出した。

インタラクティブ・ウイッシュボーンとロータスが呼び特許を取得したサスペンションがそれで、比較的一般的な、横にした「A」の形状をしたサスペンションアーム構成を持っているが、堅牢なブッシュとアルミニウム製の部品を組み合わせることで、サスペンションに革命を起こした。走行スピードに影響されることなく、キャスター角が不変となるため、タイヤは路面に張り付き、ロードノイズや振動の低減も顕著だった。

 
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