マツダCX-5

公開 : 2015.01.07 23:50  更新 : 2017.05.29 19:13

そのほか外見からではわかりづらいが、前後席のシート内部のウレタンを変更することでクッション性を改善。後席は座面部分を前後に延長することですべての乗員に対して居住性を向上させ、長距離移動も快適に行えるよう進化しているという。質感の向上や装備の充実といった面だけでなく、大勢の人数がより快適に移動するための改良は、自社製品を実直に進化させていくマツダらしい部分だ。

■どんな感じ?

乗ればわかるという新型CX-5の「進化」は、走り出してすぐに「変化」を感じることができる。今回の試乗に関しては、従来型のCX-5も同時に用意されていたのだが、新旧の2台では荒れた路面や踏み切りでの段差を越えたときに感じるショックに明らかな違いがある。運転席に伝わる突き上げ感が減少しているのはもちろん、その質もマイルドになった。硬質なドン!ではなく、角のとれたトン…!という感じ。さらに従来型では、突き上げと同時に横揺れも起きてシェイクされる印象があったが、新型ではそれがない。車体そのものに大きな変更はないはずなのに、骨格が強化されたように感じられるほど挙動は安定し、騒音や振動の侵入が少ない。

この落ち着いた乗り心地を実現したのは、フロントのサスペンション・アームのブッシュ形状を変更したことや、前後ダンパーの内部構造を変更し、よりキャパシティの大きな仕様としたことが大きい。もちろん脚まわりの進化による恩恵は低速時の振動だけでなく、コーナリング時の高い接地感や高速道路における優れた直進安定性にも繋がっている。路面状況などドライバーにとって必要なインフォメーションは明確に伝えつつ、微振動や騒音といった不快な情報は排除する。そういった基本的な部分を地道に変化させたモデル・チェンジが、新型CX-5の進化であり、真価ということになるだろう。

いっぽう最新のマツダを象徴するパワートレーンであるSKYACTIV-D、2.2ℓのディーゼル・ターボ・ユニットには変更がない。新型CX-5においてはガラガラ……という運転中のディーゼル・サウンドも明らかに減少しているけれど、これはエンジン側の改良ではなく、車体側の進化によるところが大きい。もちろん走り出せば、鋭いピックアップや6速ATとの優れたマッチングによる伸びやかな加速感は変わらない。よほど軽油の入手に困る地域でなければ、ガソリン・エンジンを選ぶ理由が思いつかないほど、このSKYACTIV-Dは素晴らしい。

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