素晴らしい記憶を残すSUV マツダCX-5(最終回) 長期テスト 2.5Lエンジン以外は◎

公開 : 2022.12.04 09:45

ドライビング・ファンなファミリーSUVといえる、CX-5。日本のマツダらしさが表れたモデルの仕上がりを、長期テストで確かめます。

積算9601km ベンチレーション付きレザーシート

今年の英国の夏は記録的に暑かった。日当たりの良い前席側を冷やしてくれるエアコンが神様のようだ。

レザーは丈夫で掃除しやすく、自然由来の素材ではあるが、熱の影響を受けやすい。
CX-5のベンチレーション機能付きレザーシートは、そんな悩みを解消してくれる。理想的なソリューションといえる。

マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)
マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(英国仕様)

積算1万747km 他とは一線を画す魅力

筆者はマツダCX-5の長期テストが始まるまで、マクラーレンGTの長期テストを担当していた。高性能なグランドツアラーからファミリーSUVへの乗り換えは、様々な面で多くの気付きを与えてくれた。

マクラーレンが恋しくも感じた。端々に感じる輝きのようなものが好きだった。家族での移動を目的とした実用性重視のモデルでは叶えにくい、姿勢制御や操縦性に対する飽くなき追求が存在していた。

キア・スポーテージ PHEV(右)と、2代目マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(左)
キア・スポーテージ PHEV(右)と、2代目マツダCX-5 2.5 GTスポーツ・オート AWD(左)

正直なところ、背の高いファミリーSUVにそんな輝きは期待していなかった。それでも、CX-5には他とは一線を画す魅力が存在することに感心した。高価な電子制御アンチロール・システムやアダプティブ・ダンパーが備わらないにも関わらず。

シャシーバランスに優れグリップ力は高く、鋭くフロントノーズは向きを変える。筆者の自宅からほど近い場所に、スポーツカーで楽しめるような道がある。路面にはコブがありカント角の変化も大きいが、CX-5は見事に駆け抜けてみせた。

子供をリアシートに乗せて飛ばし気味に学校へ送っても、乗り心地へ不満が出ることもなかった。姿勢制御は引き締まり、クルマ酔いの気配もなかった。

優秀なCX-5で唯一惜しまれる2.5Lエンジン

英国の読者にも、CX-5に惚れ込んでいる人が複数いる。2019年式のエターナル・ブルーに乗る1人は、信頼性や製造品質の高さなど、強みに感じている部分をメールで送ってくれた。

彼は正規ディーラーへ定期点検に持ち込んでおり、その対応の素晴らしさにも触れていた。月額20ポンド(約3000円)の定額プランだという。長期テストでは、そこまでの距離を乗れなかったけれど。

ジョー・ステネット氏が見せてくれたCX-5の初期のデザインアイデア・スケッチ
ジョー・ステネット氏が見せてくれたCX-5の初期のデザインアイデア・スケッチ

燃費にも満足しているようだ。2.0Lの自然吸気ガソリンエンジンなら、110km/hでの高速走行時に14.5km/L以上を達成できるらしい。

長期テストの2.5Lエンジンでは届かなかった数字だ。高速道路を110km/hで穏やかに190kmほど走行して、ベストは13.1km/L。車重が1.5tを超えるSUVにとって、自然吸気ガソリンエンジンはベストアンサーではないといえる。

このパワートレインは、優秀なCX-5で唯一惜しまれるポイントといえた。6速ATをCVTのように感じさせるほど、パワー感に乏しかった。英国の交通条件で満足のいく加速を得るには5000rpmまで回すことになり、サウンドも控えめとはいえない。

走行距離が増えるにつれ燃費は改善するかと期待したものの、目立った変化もなかった。初代のCX-5が搭載していたディーゼルターボの方が、快適なこともわかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マツダ CX-5の前後関係

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