新型ミニ・クーパー SEへ試乗 プレミアムでも「個性」は希釈? 本当の4代目はEVのみ

公開 : 2024.05.09 19:05

BMW傘下となって4代目になる、新型ミニが登場 洗練されたスタイリングに高級感が漂うインテリア 車重は軽くなくても機敏に向きを変える 特別な個性は薄まった? 英編集部が評価

本当の4代目はEV版のみ 大人な雰囲気の見た目

英国車のアイコン、ミニが4代目へモデルチェンジした。新型には、ミニ・ワンやミニ・エレクトリックは存在せず、クーパーがベースモデルに据えられた。インテリアのアップデートも目覚ましい。

加えて、本当の意味での新世代は電気モーター版のみ。内燃エンジン版も一新されるが、基本的には3代目のアップデートとなる。

ミニ・クーパー SE クラシック(欧州仕様)
ミニ・クーパー SE クラシック(欧州仕様)

内燃エンジン版は、クーパー Cかクーパー Sを名乗り、英国のオックスフォードで作られる。対して電気モーターを積むモデルは、クーパー Eかクーパー SEを名乗り、中国にあるBMWグループの工場で製造される。

見た目にはミニらしさが香るものの、従来より落ち着いた、大人な雰囲気を得たことも特徴だろう。運転は楽しめるものの、スポーティなハッチバックというより、プレミアムな性格が強いようだ。早速、詳しく見ていこう。

クーパー Eには、実容量36.6kWhでNMC系の駆動用バッテリーが搭載され、1度の充電で最長305km走れると主張される。従来のミニ・エレクトリックは、28.9kWhで225kmだったから、大幅に改善した。

航続距離は36%長くなり、動力性能はほぼ変わらず、英国価格は約3万ポンド(約576万円)から。コストパフォーマンスでいえば、同等といえる。

クーパー SEでは容量が49.2kWhへ増え、航続距離は392km。最高出力は218psで、英国価格は3万4500ポンド(約662万円)へ上昇する。トリムパッケージなど、オプションは多彩。運転支援システムなどを選ぶと、4万ポンド(約768万円)を超えてしまう。

高級感が漂うインテリア 着座位置は上昇

今回、スペイン・バルセロナで試乗したのはクーパー SE。2024年夏から英国での販売が始まるが、実用性を考えると、これが英国の主力になるだろう。

BMW傘下として、ミニが復活したのは2001年。オリジナルをモダナイズした、特徴的な容姿を引き継いできたが、4代目では大胆に一新された。要素を削り、クリーンでプレミアムな雰囲気が生み出されている。

ミニ・クーパー SE クラシック(欧州仕様)
ミニ・クーパー SE クラシック(欧州仕様)

丸いフォグランプやフェンダーのエンブレム、ホイールアーチのモール、クロームメッキのドアハンドルはない。フロントグリルも8角形になり、主張は抑えられた。現代的な印象を作っていた、クラムシェル・ボンネットでもなくなった。

デザイナーは、磨き込まれた水晶のような雰囲気を狙ったとか。筆者には、これまでの印象の強さや、魅力には届いていないように映る。どこか、ジェネリックな仕上がりにあるからだろう。読者はどうお感じだろう。

インテリアは、知覚品質の向上が図られた。ベースグレードのクーパー・クラシックでも、高級感が漂う。新型カントリーマンと同様に、ダッシュボードやドアパネルは、再生ポリエステルで包まれ、作り込みだけでなく触覚も素晴らしい。

駆動用バッテリーはフロア部分に敷き詰められ、着座位置は従来より60mm前後高め。低く座ったことで生まれる、スポーティ感は弱められた。

リアシートは、従来より僅かに広くなった。平均的な大人なら、長時間でなければ過ごせる。チャイルドシートの固定は、少し難しいかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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