スズキ・アルト・ターボRS

公開 : 2015.03.21 23:40  更新 : 2022.12.12 21:30

■どんな感じ?

いまが高度経済成長期か、と錯覚しそうなイケイケなエクステリアに、思わずニヤリとしてしまう。車高はそのままに、メッキやらガーニッシュやらスポイラーやらをゴテゴテと貼り付けてある。スズキのデザイナー陣も、最初はここまでやるつもりはなかったそうな。それがハスラーの大ヒットで自信を深め、あえて派手目に、となったという。

運転席に乗り込んでも、真っ黒なダッシュボードに赤の差し色が効いている。黒い革巻きステアリングホイールには赤いスティッチが入る。スターター・ボタンを押してエンジンを目覚めさせる。R06A 型3気筒DOHCターボ・エンジンは、ことのほか静かである。

パドルは右がプラスで、左がマイナスだ。眼前のタコ・メーターは7000rpmからレッドゾーンである。走り出すと、硬めだけれど、跳ねるほどの硬さではない。ゴチゴチに硬くはない。早速、芦ノ湖スカイラインへと向かう。芦ノ湖スカイラインの上りだと、少々のんびりしている。ドライバーに余裕がある。最高出力64ps/6000rpm、最大トルクは若干引き上げられているとはいえ、10.0kgm/3000rpm と絶対的にはたいしたことがない。

とはいえ、コーナリングはスリリングである。私の技量よりはるかにタイヤ、足回りが優れている。AGSはノーマル・アルト用よりはるかにスパッと変速する。ギアボックスはスズキ製、アクチュエーターはフィアット系と同じマニェッティ・マレリ製である。プログラムはスズキが独自に改良している。フィアット・ファンには申し訳ないけれど、たぶんそれよりレスポンスがイイ。そう思っちゃうのは地の利があって、血も同じ系統だからでしょうか。ダウンシフトを許容する場合は、ブオンッと中ブカシを入れてくれる。許容しない場合は、ピーという警告音が鳴るのみで、ギアはそのままとなる。

よい路面ではよいけれど、荒れていると、なんせ小舟であるがゆえ、乗員は少々揺すられる。揺すられても、アルト・ターボRS自体は軌跡を乱すことなく、走り続ける。ボディの補強が効いている。ポテンシャルはそうとう高い。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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