EVを走行中に充電! ホンダと大成建設が世界初の技術で無線給電道路システムの基盤技術を開発 知っておきたい次世代インフラの現在地【自動車ニュースを読む】

公開 : 2026.10.14 17:25

毎日発信されるプレスリリースの中からピックアップし、ジャーナリスト橋爪一仁が分析するコラムです。今回はホンダと大成建設が世界初の技術を採用して開発した、無線給電道路システムの基盤技術について考えます。

ホンダと大成建設がタッグ、走行中の無線給電道路システムを開発

『ホンダ』(研究開発子会社の本田技術研究所)と、『大成建設』及び道路舗装子会社の『大成ロテック』は、走行中のBEV(バッテリー式電気自動車)に非接触で給電できる、磁界結合方式を用いた無線給電道路システムの基盤技術を開発した。

ホンダが道路に埋設して車両側に送電を行う直流配電型GA(グランド・アッセンブリ)システムと車両側で受電を行うVA(ビークル・アッセンブリ)システムを搭載した車両システムの開発を担い、大成建設が直流電源システムの開発を担い、大成ロテックが無線給電道路の施工方法の開発を担う。

ホンダと大成建設及び大成ロテックが、無線給電道路システムの基盤技術を開発。
ホンダと大成建設及び大成ロテックが、無線給電道路システムの基盤技術を開発。    本田技研工業

さらに3社共同で、GAシステムを埋設した無線給電道路の舗装構造や耐久性、無線給電道路と関連設備の更新手法の開発、直流配電と無線給電道路の実験を、大成建設の『T-FIELD/SATTE』(埼玉県幸手市)において、20tクラスの大型商用車も想定して実証を行ってきた。

道路内へ埋設するGAシステムは、ユニット内のインバータとコイルを走行中無線給電ユニットとして世界で初めて一体化させ、直流配電による給電を実現。さらに既存舗装への施工に伴い発生する切削面の凹凸対策や直流配電構造を採用して埋設部の配線をシンプルにするなど、構成部品点数と施工作業量の低減も図った。

今後は、まず2026年末より大成建設グループ次世代技術実証センター『T-FIELD/TAMURA』(福島県田村市)に試験走行路を構築する。

世界と日本の無線給電道路システム実現に向けた取り組み

世界では、2025年から米国の『DWPTプロジェクト』(インディアナ州運輸省、パデュー大学、AECOM、カミンズ、他)、フランスの『A10プロジェクト』(VINCI、エレクトレオン、ハッチンソン、ギュスターヴ・エッフェル大学、他)や、ドイツの『A6プロジェクト』(ドイツ連邦経済気候保護省、エアランゲン・ニュルンベルク大学、エレクトレオン、他)で実証が行われている。

日本では、2023年から『柏の葉プロジェクト』(柏市、東京大学、ブリヂストン、ローム、小野測器、他)にて実証が行われている。

車体下に装着した、受電を行うVA(ビークル・アッセンブリ)システム。
車体下に装着した、受電を行うVA(ビークル・アッセンブリ)システム。    本田技研工業

今後はNEXCO東日本が主導して東京大学も参画する『館山プロジェクト』(館山自動車道)が、前述のホンダ&大成建設グループとトヨタ&デンソー&大林組グループなどによって、2027年以降に実証を予定する。

各グループの特徴は、ホンダ&大成建設グループが直流(DC)方式で埋設性を重視しているのに対して、トヨタ&デンソー&大林組が交流(AC)方式で長期間の耐久性を重視している点にあると捉えている。

将来的に両方式を採用するといった非合理的で不経済施策に対する懸念もあるが、独占禁止法や公共事業と各企業とのバランス観点からも技術的にも選択肢が増えるのは好ましく、切磋琢磨して開発が行われる意義は大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    橋爪一仁

    Kazuhito Hashizume

    ジャーナリスト。自動車業界を経て現在はアビームコンサルティング(エグゼクティブ・フェロー)。企画業務を中心に自動車のブランド・オリジナリティ時代におけるCASE、DX×CX、セールス&マーケティング、広報、渉外、認証、R&D、工場管理、生産技術、製造等の幅広い領域を研究、アドバイザー業務を中心に活動中。特に自動車を経済と技術の側面から分析するのが専門。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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