EVを牽引してきた『日産サクラ』国内販売10万台超を達成 BYDラッコ発売、年内にスズキ新車登場など、群雄割拠の時代へ【自動車ニュースを読む】

公開 : 2026.07.28 11:45

毎日発信されるプレスリリースの中からピックアップし、ジャーナリスト橋爪一仁が分析するコラムです。今回は日産サクラが国内累計販売10万台超を達成したニュースを元に、国内EV市場を牽引してきたその功績について考えます。

国内累計販売10万台超を達成

日産自動車は7月、軽自動車BEV(バッテリー式電気自動車)の『日産サクラ』が2022年の発売以来、約4年で国内累計販売が10万台を超えたと発表した。

サクラがユーザーから支持を得ている理由は、軽自動車のメリットである運転のしやすさとBEVの静かでなめらかな走り、流麗で均整のとれたデザインなどが挙げられる。

2022年の発売以来、約4年で国内累計販売が10万台を超えた日産サクラ。
2022年の発売以来、約4年で国内累計販売が10万台を超えた日産サクラ。    日産自動車

また、近距離移動を主体とする軽自動車のユーザーをターゲットに、1回の満充電で走行できる距離を限定的にして、バッテリー容量と車両重量の最適化を図ることでユーザーニーズにマッチさせたことは大きい。

さらに4月のマイナーチェンジでは、より上質で華やかさを増したエクステリアデザインに変更。100V AC電源(1500W)を、ラゲッジルームとインパネの2ヵ所へ装備した。

これにより、移動式給電車として災害時や企業のBCP(事業継続計画=自然災害や事故などの緊急時に事業への影響を最小化して早期に復旧や継続を図る)にも活用することができる。

実用面でも助手席側カップホルダー追加やエアコンの風向性能改良、使いやすさ向上のために移設したドライブモードスイッチなどで、快適性も向上させている。

国内BEV市場を牽引するサクラの存在感

日本におけるBEVの販売は過去4年ほどで急激に増えているが、その中においてもベストセラーモデルとしてBEV販売全体のおよそ3割を占めてきたサクラの販売台数は群を抜いており、その存在感は極めて大きい。

最新の販売状況に着目すると、6月のサクラ販売台数は1913台で前年同月比168.2%(全国軽自動車協会連合会/新車販売確報より)と、マイナーチェンジ効果も出ていると捉えられる。

同じ日産のルークスなら1回の満タンで400km以上走れるのに対し、サクラは1回の満充電で150kmほどが現実的。
同じ日産のルークスなら1回の満タンで400km以上走れるのに対し、サクラは1回の満充電で150kmほどが現実的。    日産自動車

しかし、日本のBEVの販売シェアは未だに5%未満。ここで改めてBEVとガソリン車の実用上の違いを述べれば、条件にもよるが、同じ日産の軽自動車であるルークスが1回の満タンで400km以上走れるのに対し、サクラは1回の満充電で150kmほどの走行が現実的なところ。

また、警告灯がついてからガソリンの満タン給油時間は多めにみても5分ほどだが、同様にバッテリーを80%まで充電するにはこれも条件にもよるが40分ほど要するため、長距離走行時の利便性においては明確な差が存在する。

そんな中、毎日の走行が100km以下であれば日産サクラは十分に役割を果たし、BEVらしい走りの良さも持ち合わせる。家庭で充電できればガソリンスタンドに行く必要がなくなるため、近距離移動に割り切って走るユーザーにとっては非常に魅力的だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    橋爪一仁

    Kazuhito Hashizume

    ジャーナリスト。自動車業界を経て現在はアビームコンサルティング(エグゼクティブ・フェロー)。企画業務を中心に自動車のブランド・オリジナリティ時代におけるCASE、DX×CX、セールス&マーケティング、広報、渉外、認証、R&D、工場管理、生産技術、製造等の幅広い領域を研究、アドバイザー業務を中心に活動中。特に自動車を経済と技術の側面から分析するのが専門。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

自動車ニュースを読むの連載

連載をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事