軽自動車に最適のパワーユニット? ダイハツが『アンモニア/水素混焼エンジン』の実機初公開 2030年代の実用化目指す

公開 : 2026.10.21 17:05

10月13〜16日に開催された『ジャパンモビリティショー・ビズウイーク2026』でダイハツは、『アンモニア/水素混焼エンジン』の実機を初公開しました。2030年代の実用化を目指しています。篠原政明のレポートです。

アンモニアをモビリティ燃料として活用

10月13〜16日に幕張メッセで開催された、『ジャパンモビリティショー・ビズウイーク2026』。そこでダイハツ工業(以下、ダイハツ)は日本自動車工業会の合同展示にて、『アンモニア/水素混焼エンジン』の実機を初公開した。

その概要は、水素のキャリアとして期待されているアンモニアをモビリティ用燃料として活用するというもの。燃焼しにくいアンモニアから燃焼しやすい水素を生成する技術を車載して、アンモニアと水素を混ぜて燃やすエンジンだ。

ダイハツ軽自動車に搭載されているKF型をベースに、アンモニア/水素混焼エンジンを開発。
ダイハツ軽自動車に搭載されているKF型をベースに、アンモニア/水素混焼エンジンを開発。    ダイハツ工業

この新たなテクノロジーについて開発を担当している、ダイハツくるま開発本部パワートレーン開発部CN先行開発室の村上亮副主任に話を伺った。

アンモニアを燃料とするので、将来的にはアンモニアだけの燃料タンクを目指している。アンモニアの化学式は『NH3』、つまり水素の化合物でもあるから、プラズマやATR(自己熱式改質)触媒などを使ってアンモニアから水素を取り出す。ただし前述のようにアンモニアは燃えにくく水素は燃えやすいから、両車を混ぜて燃やすというのが、このエンジンの考え方だ。

燃料となるアンモニアは液体(液化アンモニア)で、ベーパライザーを用いて熱で気化させて、インジェクターで噴射する。アンモニアと水素の混合比率は、運転域によって異なるというが、かなり少ない比率から30%くらいまで変化させている。

2030年代をメドに実用化を目指す

村上氏によれば、アンモニアにエネルギーを与えるだけで、水素は比較的簡単に取り出すことができるという。メインはアンモニアと空気をATR触媒に通して水素を生成するが、ATR触媒は熱触媒なので起動に少し時間がかかる。そこでプラズマリアクターも採用して熱したアンモニアからも水素を生成する。

エンジン内ではアンモニアも水素も燃焼する。エンジンそのものは、既存のダイハツ軽自動車に搭載されている排気量658ccの直列3気筒『KF型』だ。そのため展示されていたエンジンは全幅800mm、全長700mm、全高1350mmと極めてコンパクト。重量も約60kgと、エンジンとしては軽量だ。

ジャパンモビリティショー・ビズウイーク2026の日本自動車工業会合同展示で初公開。
ジャパンモビリティショー・ビズウイーク2026の日本自動車工業会合同展示で初公開。    平井大介

ただし、燃やすものがガソリンとは違い、また、アンモニアは燃えにくいことから、燃えやすくなるような燃焼室設計としている。従って、ヘッドまわりこそ違うが、それ以外は基本的にはKF型エンジンのままだ。

ちなみに、アンモニアは農業用肥料などで大量に使われていて市場には普及しているため、ランニングコストで考えるとガソリンとほぼ同じくらいだという。

水素エンジンや燃料電池車のような大型で高圧の水素タンクは必要なく、既存のエンジンが基本的に使えるから、軽自動車には最適なパワーユニットのひとつになるかもしれない。また、ダイハツ得意のシリーズハイブリッド『eスマートハイブリッド』との組み合わせも考えられる。

今後はアンモニアのインフラ構築や法規対応、安全性や耐腐食性の確保など様々な課題はあるが、ダイハツとしては2030年代をメドに実用化を目指しているとのことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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