ジャガーXE S

公開 : 2015.07.15 23:40  更新 : 2017.05.29 18:37

■どんな感じ?

既にこれまで、さまざまなグレードのXEを試してきたAUTOCARであるが、なかでもXE Sの乗り味は最高レベルであると断言できる。

バンク角90度のV6エンジンは、F-タイプに搭載されるものよりも少しだけ大人しく仕立てられているが、F-タイプのそれに近いことは間違いない。

空気の吸入と吐出側が仕切られているルーツ式のスーパーチャージャーの高音が、チューンされた6気筒の心地いい音に華を添えている。

F-タイプでは耳にできたバックファイヤー音はXE Sでは聞こえないが、このクラスに所属するスポーツ・サルーンに比べると十分に刺激的な快音を奏でる。

走らせてみると、とてもパンチが効いたエンジンだと感じる。また、鋭いレスポンスのおかげで、単に速いだけでなく、すべての動作に一貫した小気味よさも感じる。

現代のターボ・ディーゼル・ユニットでも、同等のパンチ力を発揮できることは間違いないが、やはりドラマティックなのはガソリン・エンジンの方だ。思わず夢中になってしまう堂々としたアティチュードと、広いレヴ・レンジに起因するプラグマティズムに改めて感動した。

一方のパーシャル・スロットル時には、おだやかなトルク供給がなされる。低中回転域では、敢えて仰け反るような加速を与えず、あくまでおだやかに、しかしながら下から押しあげるようなトルクの湧き出し方をする。

6速の巡航から一気にアクセル・ペダルを踏み込むと、ギアボックスは迅速にシフト・ダウンをし始める。変速の遅さにヤキモキすることはなく、自分が思うとおりの加速を得られるのも、XE Sの特長だ。

ダイナミック・モードに固定、変速もパドルから行えば、6000rpmからうえまで気持ちよく回せる。8速まで用意されているため細やかに変速ができ、特に九十九折や追い越しを繰り返すときなどもありがたい。

3速でレヴ・リミットまでの最後の1000rpmを回す際も、6速で中回転域を保つ際にも、回転はつねになめらか。エンジンのたっぷりとした余裕を請けおうことのできるパワートレインの懐の広さにも感心する。

可変ダンパーを組み合わせるサスペンションの足捌きもお見事。‘S’ を名乗るだけに引き締まっていはいるものの、英国の悪路でも大方の入力を吸収している。モーターウェイや峠道問わず、高速域でもしっとりと安定していると感じた。

グリップ・レベルにも不安はなく、高速走行でもグッと粘る。ドイツ勢に比べると、ついドリフトしたくなる仕立てであり、4輪を目一杯使ってコーナリング・バランスの繊細さを味わつくすこともできる。

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