際立つ特徴がない反面、至って実直 トヨタbZ4X ツーリング(2) 1充電で現実的に500km ワゴンを選ばない理由を見つけにくい

公開 : 2026.07.27 18:10

トヨタbZ4Xのワゴン版で、スバル・トレイルシーカーのきょうだい、bZ4X ツーリング。バッテリーは増量しても車重は25kg前後軽く、航続距離は現実的に500kmを走ります。UK編集部が試乗します。

現実的な価格のトヨタらしい、運転のしやすさ

トヨタ bZ4Xのステーションワゴン版、bZ4X ツーリング。運転体験には、際立つ特徴がない反面、至って実直といえる。いかにも、現実的な価格帯のトヨタ車だ。

最高出力は224psで、最大トルクは27.3kg-m。0-100km/h加速は7.3秒と普段使いに充分な鋭さで、回生ブレーキを調整できるパドルがステアリングホイール裏に備わり、運転しやすい。お望みなら、惰性走行もできる。

トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)
トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)

先行車との車間距離が縮まると、回生ブレーキが自動的に強くなるクルーズコントロールも、動作は直感的。センサーの反応に、不安を感じることはなかった。自分には必要ないと感じたら、オフにもできる。

制限速度警告など、一部の運転支援システムの切り替えは、タッチモニターのメニューを掘り下げる必要があり、もう少し簡便だと望ましい。それでも、車線維持支援には物理ボタンが用意され、ドライバー監視機能の警告も煩わしくはなかった。

スポーティを主張しない心地良さ

bZ4Xへ乗り慣れている方なら、カーブでのボディの傾きが、僅かに大きいことへ気付くかもしれない。ツーリングの方がサスペンションのストロークは若干長いものの、柔らか過ぎず、フワフワ不安定になることはない。

路面の凹凸を巧妙に均し、不快な揺れは抑えられ、乗り心地は強みの1つ。ステアリングの重み付けは丁度良く、レシオもクイック過ぎない。落ち着きがある雰囲気は、bZ4X ツーリングへ良く似合っている。

トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)
トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)

動的能力の高さは過度に主張されず、安楽に運転できることが心地良い。積極的に飛ばしたい気分にはならなくても、成熟感のある印象。適度な洗練性と身のこなしで、気負いなく毎日付き合いやすいことが、特長といえる。

個性が薄い、と感じる人はいるかも知れない。しかし、スポーティさを求めて2基目のモーターをリアに積んでも、車重が増え、航続距離や乗り心地へ影響が出る可能性はある。四輪駆動版を試していないが、筆者の直感では、前輪駆動の方が賢明そうだ。

1度の充電で現実的に500km近く走れる

シングルモーター版の電費は、市街地中心なら7.2km/kWhから8.0km/kWhの間と優秀。71.0kWhの駆動用バッテリーで、現実的に1度の充電で500km近くは走れるはず。急速充電は150kWで、速いわけではないが。

bZ4Xとの価格差は、デザイン・グレードの場合、英国では200ポンド(約4万円)。沢山の荷物を詰めて長い距離を走れる、ツーリングを選ばない理由は見つけにくい。

トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)
トヨタbZ4X ツーリング FWDデザイン(英国仕様)

一方で、4万ポンド(約840万円)以下の同クラスには、ライバルが多い。シトロエンE-C5 エアクロスなどは、同等の航続距離を備え、車内空間もより広い。bZ4X ツーリングが、販売競争で有利な立場にあるとまではいえない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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