■「買い」か?

ハスラーがウケたのは、ライフスタイル上の新しい提案があったからである。軽だけど、こんなに楽しいライフがあるんだよ。日本経済は縮んでいるけど、捨てたもんぢゃないぜ、という明るいメッセージがあった。

翻ってキャストにそれがあるかというと、お客さまの要望で丸形のヘッドライトと２トーン・カラーを採用し、お客さまの要望でアウトドアで必要な最低値高を確保した、に過ぎないような印象を受ける。

だからかどうか、運転していてハスラーのようなハジけた感がない。Aピラーの角度とか、フツーの範囲にとどまっていることもあるのかもしれない。スズキのように車重600kg台までダイエットしないと、ああいう明るさは得られないのかもしれない。

その一方で、キャスト・スタイルのようなマジメな軽自動車を選ぶ若いお嬢さんをなかなか好ましいと思うオッサン私もいる。アクティバを選ぶお嬢さんのほうが場合によっては好ましいと思うかもしれない。

それはお嬢さんが具体的にだれか、木村文乃なのか広瀬すずなのか有村架純なのかというキャスティングの話であって、キャストとは何の関係もない、のかもしれない……。

マジメなクルマづくりこそがユーザーに幸せをもたらす、という考え方もある。実際のところ、筆者はコペンの上質感に驚いたひとりである。

ダイハツはきわめてマジメなアプローチでクルマづくりに取り組んでいて、それがここにきて開花しているように思う。リッパである。

大ざっぱにいえば、近頃のスズキはラテン的、ダイハツはゲルマン的なクルマに仕上っている。基本的に柔らかいのがお好きな方は浜松産を、硬いのがお好きな方は大阪産を選ばれるのがよろしいのではないかと思う。これは徳川と豊臣の戦いなのである。なんちゃって……。

(文・今尾直樹　写真・前田恵介)

ダイハツ・キャスト・アクティバX 2WD

価格	1,220,400円
最高速度	NA
0-100km/h加速	NA
燃費	30.0km/ℓ
CO2排出量	NA
乾燥重量	840kg
エンジン	直列3気筒658cc
最高出力	52ps/6800rpm
最大トルク	6.1kg-m/5200rpm
ギアボックス	CVT