FMR Training Rally 2016

2016.04.03

text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)

 
去る4月3日、あきる野市の東京サマーランドで開催されたFMRトレーニングラリーにお邪魔した。1979年までに生産された国内外のヒストリックカーによるレギュラリティ・ラン形式の公道ラリー競技である本イベントは、9月に開催される『富士マウンテンラリー』の練習会としての側面も併せ持っている。

今回のイベントには約30組のクルーがエントリー。エキスパートとビギナーによる混成チームでのチーム戦が行われる。そういった部分もこのトレーニングラリーの特徴だが、これはヒストリックカー・ラリーへの門戸を広げたいというイベント運営陣の想いの表れでもある。

当日の朝は生憎の小雨模様だったが、朝のブリーフィングで大会会長の平野喜正さんの「スタートまでには晴れにします!」との宣言どおり(?)、徐々に空は青さを取り戻した。ブリーフィングの後は、サマーランドの広大な駐車場を貸し切ってのPC(パス・コントロール)ポイントの練習、いわゆる“線踏み”の練習時間が取られた。

トレーニングラリーの本ラリーは、東京サマーランドを起点とした奥多摩一帯を舞台として、ルートブックにコマ図で記された道のりを指示された時間で走るロード・セクションと、その間に配されたクローズド・コース内でのPC競技の組み合わせに挑む。PC競技では数十メートルほどの短い距離を5秒や10秒といった指定時間で通過し、1000分の1秒レベルでの計測が行われる。ドライバーとコ・ドライバーの高度な連携が試されるレギュラリティ・ラン競技の肝となる技術を磨くことが本イベントのテーマのひとつなので、PCの通過練習には多くの時間が割かれているのだ。

線踏み練習の後はセレモニアル・スタート形式で東京サマーランドを出発し、檜原村安らぎの里や秋川国際マス釣場を巡るロード・セクションで午前の競技が行われた。途中に昼食をはさんで、昼食前にはコ・ドライバーが参加して、ブラインドでストップウォッチを5秒にいかに近い時間で止められるかを競う“ナビチャレンジ”も開催された。

午後からはリスタート後、日の出町にある「ひので森林こども中央公園」のスタンプ・ポイントを経て、青梅市日向和田の「へそまんじゅう本舗」、「澤乃井櫛かんざし美術館」へ。美術館を見物した後に東京サマーランドへと戻ってくるルートを辿った。

昨年のトレーニングラリーはあきる野市の市制20周年の協賛イベントということもあり、ロード・セクションの沿道やスタンプ・ポイントには地元住人の皆さんが見られたが、今年は昨年以上に旗を振り、クルーたちに声援をおくる人々の数が多かったように感じた。公道を使用するイベントにはやはりその地域に住む方々の深い理解と声援が必須であり、このイベントのフレンドリーさと奥深さを再認識させられた。

  • 東京サマーランド駐車場に集った約30台のヒストリックカーたち。

  • 朝のゲートオープン直後の時間ではまだ肌寒く小雨模様であった。

  • 練習会場である大駐車場の周りでは桜が咲き誇っていた。

  • 「スタートまでには雨は止ませます」と宣言するのは大会会長の平野さん。

  • 本番前には大駐車場の特設コースでPCポイントの線踏み練習が行われた。

  • これほど集中して線踏み練習ができる機会は貴重だ。参加者も熱が入る。

  • 桜をバックに縦横無尽に走るヒストリックカーという絵も実にオツである。

  • 低く流麗なフォルムのコスモ・スポーツ。世界の名車に引けを取らない。

  • 参加車の中には素晴らしいコンディションの日野コンテッサ・クーペの姿も。

  • 一方、小山のようなこんもりとしたフォルムが実に愛らしいパナール・ディナも参加した。

  • ゼッケン1を付けるトライアンフTR2は昨年のチャンプカーだが、練習にも手抜きはない。

  • ビギナー・クラスでエントリーしていたMG-TC。こちらも真剣に線踏みの練習をしていた。

  • ヒストリックカー・イベントの常連、堺正章さんも愛車のマセラティ200siを駆り練習に勤しむ。

  • 1時間半の線踏み練習が終了。本番のスタート前には雨は上がり、空は明るくなり日が差してきた。

  • セレモニアル・スタートのフラッグを振るのは、檜原村のご当地キャラ「ひのじゃがくん」。

  • インタビューを受ける昨年の優勝者である福原さん。「ライバルは自分」とストイックだ。

  • 「ひのじゃがくん」のスタートフラッグを受けて、トレーニングラリーに出発するエントラントたち。

  • 東京都とは思えない自然の中を駆け抜けるヒストリックカーたち。実に気分良さそうだ。

  • ルートの沿道で地元の方々がラリー参加車に声援をおくる様子が見られた。

  • イベントのフラッグだけではなく、自作の旗や横断幕まで持参しての応援だ。

  • サマーランドに戻り、この先のPCポイントを終えれば昼食が待っている。

  • ランチにはコ・ドライバーだけが参加できる「ナビチャレンジ」も開催。

  • 昼食には地元、秋川国際マス釣り場提供のマスも。実に美味しそう!

  • 昼食の休憩時間にマシンの調整を行う熱心なエントラントの姿も見られた。

  • 参加者たちはランチタイムを含んだレストタイムを終え、午後のセクションへと向かう。

  • ルートの道ばたに掲示された、おしゃぶりのようなマークの看板はスタンプ・ポイントの印。

  • スタンプ・ポイントに一行に先んじて付いたのはゼロカーを勤めるアストン・マーティン。

  • ゼロカーが通過してしばらくすると、競技車両たちが続々とスタンプ・ポイントにやってきた。

  • ひので森林こども中央公園に到着したエントラントたち。ここでチェックのスタンプを受ける。

  • ここでも多くの地元の方たちから声援が送られた。こういった風景もこのイベントならではだ。

  • 全競技車両が必ずストップするスタンプ・ポイントは、絶好の観覧ポイントでもある。

  • このあと一行は日向和田のへそまんじゅう本舗を経て、澤乃井櫛かんざし美術館へ向かう。

  • 一日の行程を経て再びサマーランドに戻ってきたエントラントたち。ゴールは目前だ。

  • FMRトレーニングラリー、平野大会会長が振るチェッカー・フラッグを受けてのゴールの瞬間。

  • 一日を走りきったエントラントに声をかけ、換装を祝福し厚い握手を交わす平野大会会長。

  • ラリーを走り終え、整列するヒストリックカーたち。競技中は雨に降られることはなかった。

  • ゴール後に行われた閉会式では、参加者を代表し、堺正章さんが挨拶と乾杯の音頭をとった。

  • 用意されたカップと副賞の数々。多くの参加者に受賞のチャンスが用意されているのが嬉しい。

  • 表彰式ではチーム賞やビギナー・クラス、エキスパート・クラスなどの各賞の表彰が続いた。

  • ビギナー・クラスの上位入賞クルーたち。優勝はゼッケン16番トライアンフTR2に乗る斎藤/碓氷組が獲得。

  • エキスパート・クラスの上位入賞者。優勝を果たしたのはゼッケン9番パナール・ディナX85の横田/大木組。

  • 初参加の島下/室井組はビギナー3位に。副賞は北海道クラシックカーラリーへの招待だ。

  • 平野大会会長から今回の総括が述べられ、9月の第1週に富士マウンテンラリー2016の開催が発表された。

  • #1 1955年型 トライアンフTR2 福原/二見組

  • #2 1961年型 ポルシェ356B 井出/井出組

  • #3 1947年型 バンディーニ1100 スポルト 中/中組

  • #4 1969年型 モーガン 4/4 関口/高岡組

  • #5 1956年型 アルファ・ロメオジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ 佐藤/佐藤組

  • #6 1953年型 ポルシェ356A 波田野/波田野組

  • #7 1959年型 レンハムGTO 勅使河原/畠山組

  • #8 1960年型 MG-A 若林/岡野組

  • #9 1951年型 パナール・ディナX85 横田/大木組

  • #10 1970年型 モーガン4/4コンペティション 荒井/剣持組

  • #11 1969年型 ポルシェ911 村松/小嶋組

  • #12 1967年型 日野コンテッサ・クーペ 佐藤/佐藤組

  • #13 1955年 ジャガーXK140 久富/久富組

  • #14 1969年型 マツダ・コスモ・スポーツ 疋野/田端組

  • #15 1954年 トライアンフTR2→BMW320d 斉藤/斉藤組

  • #16 1947年型 MG TC 斎藤/碓氷組

  • #17 1957年型 マセラティ200si 堺/田中組

  • #18 1955年 アストン・マーティンDB2/4 Mk-1 小宮/小宮組

  • #19 1970年型 ロータスエランスプリント 向山/向山組

  • #21 1955年型 オースチンヒーレー100-4 BN2 岡野/岡野組

  • #22 1968年型 ダットサン・フェアレディ2000 森田/加藤組

  • #23 1954年型 オースチン・ヒーレー100 BN1 東/土田組

  • #25 1954年型 フィアット1100 TV 山口/土屋組

  • #26 1959年型 ロータス17 矢部/青木組

  • #27 1979年型 モーガン・プラス8 大島/岡部組

  • #28 1939年型 スタンゲリーニ・アラドーロ 荒木/****組

  • #29 1956年型 トライアンフTR3 小澤/高山組

  • #30 1974年型 ポルシェ911カレラ 島下/室井組

  • #31 1984年型 ポルシェ911タルガ 大森/粟屋組

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