「軽」のマイナスイメージを払拭 新型ワゴンR、クラス超えの出来

公開 : 2017.02.22 05:55  更新 : 2017.05.29 18:41

  • 62ps、10.0kg-mのターボ仕様、スティングレー・ハイブリッドTにも試乗。

  • 軽ワゴン・ターボ車No.1の28.4km/ℓを達成。

フロアの剛性感、操舵時の重厚感 ハーテクトの実力

そして僕の軽自動車観は新型ワゴンRで走り出した瞬間にまたしてもブチ壊された! わずか790kgのクルマとは思えないほどに重厚感があるのだ。おろしたての新車なのでボディの上屋がカチッとしているのは当然ながら、なにより驚かされたのは張りを感じさせるフロア周りとそこに連なる足廻りの剛性感だった。これが新プラットフォーム『ハーテクト』の威力なのか! FZはフロントサスにスタビライザーを備えることもあって操舵時も欧州車っぽいドッシリとした感触で、運転好きのお父さんにも充分アピールできるものがある。試乗中に道路の継ぎ目やうねりの上をわざと走ってみたが、突き上げのカドの丸め方やその後のいなし方も軽いクルマらしからぬ落ち着いた感触だった。ちなみにスタビなしのFXハイブリッドではコーナーで若干の頼りなさを感じたが、これは先にスタビ付きに乗ってしまったからだろう。

踏んでも騒がしくない「軽」 ターボ車の走りは?

アクセルに足を乗せ新型ワゴンRを加速させてみた。3人の成人男性+撮影機材という軽自動車としては決して一般的ではない使用状況であるのにもかかわらず、力強いトルク感を伴って加速していくではないか! 恥ずかしながらあまりの力強さに最初はターボ車だと思い込んでいたくらいだ。エンジンは3気筒特有の振動を感じさせない滑らかさで、加速中の排気音も従来の軽自動車の『ベーっっっ!』みたいな騒がしさがない。センターメーターのインジケーターを見るとエンジンと共にモーターがアシストしている表示が出ていた。『マイルドハイブリッド』によるアシストはあくまでも補助的なものでエンジンのパワーに上乗せされるものではないということだが、モーターの最大5.1kg-mというトルクが効果的に働いているのだろう。この後ターボ車(スティングレー・ハイブリッドT)にも乗ったが、こちらはさらにトルクフルで充分以上に速かった。僕の中では「自然吸気エンジンの軽自動車はアンダーパワーで遅い」というイメージがあった。しかし新型ワゴンRは車体の軽量化とCVTミッションのギア比の最適化、そしてハイブリッドシステムとの連携が生み出す力強い走りで、そんなイメージを見事に覆してくれた。

モーターによるクリープ走行は、こう考えろ!

この新型ワゴンRはアイドリングストップとモーターによるクリープ走行機能も備えている。以上。……と終わらせてしまうとメーカーの方に怒られてしまいそうだが、僕はこういった機能はユーザーに意識させず黒子に徹することが重要だと考えている。だからエンスト感なくスッとエンジンが停止するところや、ブレーキペダルから足を離したと同時にモーターで動き出し、アクセルに足を移すと大きな振動もなくエンジンが再始動し加速していく新型ワゴンRには驚かされた。と同時にその存在を忘れ去った。それこそがスゴイところなのだ。

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