ヤナセ・クラシックカー・センター開所 百年企業が示す価値ある旧車の創造とは

2018.07.05

膨大な量のATミッションをOHする、ヤナセ随一の特殊部隊

続いて一行が案内されたのはトランスミッションやステアリング・ギアボックスなどを分解/整備/組み立てする部署であるユニット課。実は筆者が今回の取材で最も見たいと期待していたのがこの部署である。

非常に複雑な構造を持つオートマティック・トランスミッションなどは、通常ではアッセンブリーでの交換や、メーカーに送っての修理となるもので、一部の専門業者以外は手を出しにくい部分だ。

しかしながら横浜ニューデポーでは全国のヤナセでも唯一、内製での修理/リビルドを行っているという事実は業界内でも知られており、その特殊部隊の本部を覗けるというだけでもワクワクするではないか。

広大な室内には重量棚が幾重にも並び、そのほとんどにはメルセデスのものと思しきATミッションがギッシリと並べられていた。これらは全国から送られてきた修理待ちや完成品の他に、部品取りなどでストックされているものも多いとのことだった。

さすがに現行モデルなどでは、オーバーホール用部品のみの供給というのがないとのことだが(すべてアッセンブリー交換となる)、2000年代初めの7GトロニックあたりまでのほとんどのATミッションに対応できる。

キレイに整頓された作業台の上には迷路のようなATの部品と対峙する若い職人の姿があったが、「目にも留まらぬ」を地で行くような手早さで、「さすがは特殊部隊!」と感心させられる練度の高さであった。

熟練の職人の手でくみ上げられたオートマティック・トランスミッションやステアリング・ギアボックスなどは、正常に動作することを確認された上で納品されるが、ここでは実車に搭載せずともユニット単体で動作試験が行えるテスターが用意されている。

機種別に用意されたテスター、旧いものなどは恐らく自分たちの手で自作したのだろうと思われるものもあり、職人魂が感じられた。

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