AUTOCARアワード2019予選 真のアイコン選手権 決めるのはあなた(中編)

公開 : 2019.03.16 11:50  更新 : 2019.06.03 08:54

日産スカイラインGT-R

これでもかと技術を投入することで、スーパーカーたちに衝撃を与えた唯一の存在がスカイラインGT-Rだ。

GT-Rとは、サーキットを席捲した、永遠のグリップを発揮するターボ付きジャパニーズ・マッスルカーであり、日産のフラッグシップ・パフォーマンスモデルとして、かつてル・マン24時間にも挑戦している。だが、この時は、同じくGT-Rの名を持つマクラーレンF1に敗れはしたものの、日産はこのクルマの存続を決断したのであり、それがすべてだった。

では、なぜGT-Rをアイコンと呼べるのだろう? このクルマは日産を破算の危機から救ったわけでもなければ、ミニやランドローバーのように多くのひとびとの生活を豊かにしたわけでもない。さらには、ジープのように戦場で活躍したこともなければ、フォルクスワーゲン・ビートルのように戦後復興に役立ったわけでもない。

それでも、日産にとって、GT-Rの名はつねに重要であり、現行R35世代でスカイラインの名が取れて以降は、AUTOCAR読者にとってもさらに注目のモデルとなっている。歴代GT-Rとは、つねにその時最新の技術を詰め込みつつも、ドライバーとの繋がりをも維持することができるという最高の見本であり、このクルマ以上に2019年に相応しいモデルなど存在しないだろう。

R35を運転したことがあれば、誰もがこのクルマに対する、ビデオゲームのようなダイナミクス性能であるとか、コンピュータのプログラムに完全に依存したコーナリング、味気ないコントロール性といった非難が、いかに的外れなものかを理解している。


むしろ最近では、GT-Rに乗り込込んでエンジンに火を入れ、オイルが十分温まるまで、機械式のディフェレンシャルやギアボックスが発するメカニカルサウンドを効くのは、一種の癒しと言っても過言ではない。さらに、その重厚感のあるステアリングに慣れ、間違いなくこのサイズのクルマとしては最速の1台を運転するのに必要な精神状態を整えるには、十分に時間をかける必要があるのだ。

ポルシェ911でこうした準備が必要だった時代はすでに過去のものだが、対照的に、GT-Rでそのハイテクぶりを発揮するには、常にこうした儀式が必要となる。つまり、GT-Rの運転とは、ひとつの事件とでも言うべきものなのだ。

こうしたすべてが、GT-Rをアイコンにしているのであり、さらに、このクルマには偉大なPGC10が誕生した1969年にまで遡ることのできる、複雑かつ豊かな歴史が備わっている。PGC10から数えて20年後には、われわれのよく知る「スカイラインGT-R」が登場しているが、このクルマはグループAレースを席捲するべく生み出され、実際、1980年代後半には29戦29勝を挙げて、文字通り全日本ツーリング選手権を支配した。

続くR33は、ニュルブルクリンクにおけるコースレコード争いにおいて、初めて8分を切った量産モデルであり、R34についての説明は不要だろう。一時期、数えきれない程多くのクルマ好きの若者が、もはや伝説となったベイサイドブルーのGT-Rを手に入れる日を夢見ていたが、このクルマは日本のマインズが当時最新のエンジニアリングをほどこすことで、驚きの速さを誇るモデルだった。

実際、いまでも多くがその夢を諦めたわけではない。フェラーリやランボルギーニに比べれば、地味とも言える日産のクルマがそれほど熱望されるとは、馬鹿げていると思うかも知れないが、それこそが本物のアイコンの証しだ。
(リチャード・レーン)

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