燃費だけじゃない アウディA7 55 TFSIeクワトロ 2.0LエンジンのPHEV

公開 : 2019.10.31 09:50

艷やかな4ドアクーペ、アウディA7がプラグイン・ハイブリッドを獲得。燃費だけでなく、EV状態でのスムーズな走行や高速道路での力強い加速など、A7のグランドツアラーとしての説得力を引き立てた仕上がりとなっています。

2.0L 4気筒ターボをモーターがアシスト

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
艷やかなボディをまとった車高の低い4ドアクーペ・スタイルのモデルが増えている。実用性は二の次の、クーペという名前を借りたスタイル優先のクルマだ。そんなA7にプラグイン・ハイブリッドが追加された。

実用性も大切にしているA6の場合は、燃費や環境への配慮も大切に思える。だがA7のドライバーがハイブリッドをありがたがるのか、少し疑問に感じてしまった。

アウディA7 55 TFSIeクワトロ
アウディA7 55 TFSIeクワトロ

環境規制が厳しくなる一方で誕生したA7 55 TFSIeクワトロに搭載されているのは、2.0Lの4気筒ターボエンジン。14.1kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、モーターもアシストを加える。基本的にはSUVのQ5 55 TFSIeに搭載されているユニットと同じものだ。

エンジンとモーターが力を合わせることで発生する最高出力は367ps。最高速度は250km/hで、0-100km/h加速は5.6秒となっている。電気モーターの力だけで135km/hまで加速でき、EVとしての航続距離は41kmとうたわれている。

追って最高出力でやや劣る50 TFSIeが追加となる見込み。A7のスポーティーなスタイリングに見合うような、よりパワフルなV6エンジンによるプラグインハイブリッドの追加は、今のところ期待できない。

運転席から後ろは、プラグインハイブリッドとなっても他のA7からの変更点は見つけられない。快適でスタイリッシュ。かっこいい雰囲気が漂う。パーツのフィッティングや仕立ても、アウディらしく上質で滑らかだ。

クールでスマートな雰囲気に合う走り

クルマの主要機能の操作は、基本的にダッシュボード中央の2面の大きなタッチモニターで行う。移動中の操作もしやすいように、触覚的な反応が指先に得られる点が良い。

メーターパネルがモニター式になっている点が、他のA7との大きな違い。エネルギーの消費率や電動での航続可能距離などの情報が表示される。

アウディA7 55 TFSIeクワトロ
アウディA7 55 TFSIeクワトロ

静的な違いはその程度だが、クルマを走らせた瞬間プラグインハイブリッドであることを実感する。電気モーターが即時的にパワーを発生し、ほとんど無音のままA7は走り出す。アウディのクールでスマートな雰囲気によく合う、活発でありながら落ち着きのある走りだ。

電気モーターとエンジンとの働き加減の調整は、アクセルペダルに踏力の変化が設けられているから容易。モーターで発進させてから、低速域でエンジンを指導させるには、やや深めにアクセルペダルを踏む必要がある。制限速度を意識した運転だけでなく、前方の状況を把握してアクセルを浮かせるなど、効率的な運転にもつながると思う。

Q5などと同様に、電動モーターのパワーは高速道路などでも役に立つ。電気ブースト的に、瞬時的に力強い加速が得られる。高速域での走行性能は高められたといえるが、やはりA7スポーツバックはスポーティさを楽しむより、グランドツアラー的なクルマではある。

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