【空飛ぶクルマ】量産サービス化までの道のり、極めて厳しいワケ トヨタが約433億円投資も

公開 : 2020.01.17 11:50  更新 : 2020.01.21 11:08

大きなハードル=電動化

米連邦航空局やNASAが「技術的な課題」としたのが、パワートレインの問題だ。

VTOLには、広義ではヘリコプターも含まれるように、液体の航空燃料を使った内燃機関をパワートレインとすれば、技術的なハードルは当然低い。

だが、今回のトヨタ事案にあるように、多くのベンチャーが目指しているのパワートレインを電動化させたeVTOLだ。小文字eは、電動化を意味する。

大型飛行機でもパワートレインの電動化に関する技術開発は行われており、航空関連シンポジウムで航空機大手が実験データを基に将来構想を発表することは珍しくない。

その場合でも量産化について、高いエネルギー密度を持つ小型の蓄電池が早期に実用化されるかどうか、疑問の声が挙がる。

なかには、現行のリチウムイオン二次電池へ、空中給油ならぬ空中充電の構想を打ち出すケースもある。

一方、近年実用化されている小型ドローンでも、電池に関する課題は極めて大きい。測量や橋梁の検査などで使われる商用ドローンの場合、最大飛行時間は15分程度が一般的だ。

こうした状況で、サービス事業者としては「15分間で、いかに効率的で収益性の高いサービスができるか」を顧客に提案することが事業の中核になっている。

こうした現状を見る限り、リチウムイオン二次電池のさらなる技術革新が進み、またトヨタが現在進めている全固体電池が量産化されたとしても、長時間の飛行に十分に対応できる電池がeVTOLに採用されるのは、今後10年ていどのスパンでは実現できないように感じる。

収益性のあるサービスができるのか?

eVTOLにしろ、他の形式の飛行体にしろ、「空飛ぶクルマ」が直面する最も大きな課題は、マネタイズ(収益性のある事業)をどうやって確立させるかだ。

前述の2015年の米連邦航空局の商用ドローン規制緩和の動きの後、ライドシェアリング大手のウーバーが「空飛ぶクルマ」のサービスモデル化を公表。NASAなどから技術者など幹部をウーバー社内に招聘し、ウーバー独自開催の空飛ぶクルマに関する国際会議を仕立てるようになった。

最近では、韓国ヒュンダイとウーバーが連携するなど、自動車産業との連携を模索し始めた。

ウーバーとしては、ウーバー創業者グループがライドシェアリング事業で体験したように、巨額の先行投資によって当面は赤字経営でも先行者利益として市場の占有を狙っているようにみえる。

トヨタが本格的な一歩を踏み出した「空飛ぶクルマ」。日本政府は、2023年の実用化を目指し産学官連携体制で臨むが、技術面とサービス面で課題は山積している。

これから、トヨタの手腕が問われる。

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