【生産体制から納車、車検、名義変更まで】コロナ禍が、クルマ業界に及ぼす影響は?

公開 : 2020.03.27 22:44

車検満了日、抹消登録、自動車税の納付 延期対応

車検満了日や廃車(抹消登録)に関する手続きも延期の措置が取られている。

まず、車検満了日や抹消登録日の延期について。国土交通省は2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、自動車の車検有効期間を延長することを発表している。車検満了日が2月28日から3月31日の車両について、全国すべてを対象に車検有効期間を一律4月30日まで延長する。

国交省は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、車検有効期間を延長すると発表した。
国交省は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、車検有効期間を延長すると発表した。

最長で約2か月の延長となり、車検時に納める自賠責保険についても同様の扱いとなる(無料になるというわけではないので注意)。

延長の理由は、窓口での混雑を避けるため。毎年3月末は抹消登録や移転登録など、もろもろの手続きで運輸支局の窓口が非常に混雑する時期である。人々が集まることで感染しやすい状況となるのを避けるための処置とのことだ。

さらに、3月25~26日には全国の都道府県から「感染症によって影響を受け、納税が困難な人」を対象に、自動車税に関する猶予制度が発表された。

こちらは自動車税だけではなく、軽自動車税も対象となるもの。新型コロナウイルス感染症に納税者(家族を含む)がり患したり、感染予防のために事業を休止したりした場合など、徴収の猶予を与える(徴収の猶予:地方税法第15条)。

いずれの場合も二輪車は対象外とのことだ。

自工会豊田会長の会見「金融システムは健全」

クルマに関わる様々な影響や状況が刻々と変わっていく今の状況だが、先週3月19日には日本自動車工業会(以下自工会)の定例会長記者会見が行われた。今回は感染防止の観点から原則ウェブ会見とした異例の会見となった。

なお、自工会とは自動車を生産するメーカー14社で構成される組織のことで、会長はトヨタ自動車株式会社社長 豊田章男氏がつとめる。

「クルマは公共交通機関よりも感染のリスクが少ない。モビリティの役割を今こそ考えるとき」と自工会の豊田会長。
「クルマは公共交通機関よりも感染のリスクが少ない。モビリティの役割を今こそ考えるとき」と自工会の豊田会長。

コロナ対応が主体の会見となったが、業界としての取り組みについて話した。

「完成車メーカー、部品メーカー、政府の3者が連携し業界における迅速な情報共有や必要な対応策を検討する場として2月20日に新型コロナウイルス対策検討自動車協議会を設置して対応に当たっている。サプライチェーン(供給網)への影響などの課題について意見交換を行い、現場の声も吸い上げている。政府は良く対応してくれている。わたし達民間企業はやるべきことをやって、お互い連携をとって命を守っていく」

リーマンショックと異なる点も

「2008年のリーマンショック時は急拡大する中国市場がけん引役となり、グローバルではバランスが取れていた。今回のコロナにはそれが期待できない。ただし、リーマンショックの時に比べると、金融システムは健全だと思う」

「自動車業界は持続的に非常に大きな雇用を抱えている。2000年の雇用を100とすると、2008年のリーマンショックをこえても100を維持していて現在104にまで来ている。自動車や部品が稼ぐ外貨(貿易黒字)は年間約15兆円。日本が資源を輸入する額に相当する。それほど大きな業界だ」

その大きな業界の雇用が安定しているのだから、コロナ禍による影響は一時的なもので心配は不要、ということだろう。

最後に豊田会長は、「幸い、クルマは公共交通機関よりも他人と接する確率が非常に低く、感染のリスクも少ない。都市部も過疎地もモビリティの役割を今こそ考えるとき。大変な時こそ、将来の準備機会が到来したのだと考えるべき。出来なかった既存業務を見直す機会にしたい」とくくった。

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