【大衆より上級】フォルクスワーゲンではなく、メルセデス・ベンツが一番売れる日本市場の不思議

公開 : 2020.03.28 05:50  更新 : 2021.10.09 23:54

日本市場では、世界的な高級ブランドであるメルセデス・ベンツが、欧州では大衆ブランドのフォルクスワーゲンより数多く売れています。考えてみれば不思議なことです。2015年以降そうなった理由を探ります。

2015年以降、メルセデス・ベンツがトップ

text:Kenji Momota(桃田健史)

世界的な高級ブランドであるメルセデス・ベンツが、欧州では大衆ブランドのフォルクスワーゲンより数多く売れる。ここ日本での現状である。

理由はどこにあるのだろうか?

メルセデス・ベンツはフォルクスワーゲン、BMWとの競争でシェア2位、または3位の時代が長かったが、2012年にBMWを抜いてシェア2位の座を確実とした後、2015年以降はシェア1位の座を維持。
メルセデス・ベンツはフォルクスワーゲン、BMWとの競争でシェア2位、または3位の時代が長かったが、2012年にBMWを抜いてシェア2位の座を確実とした後、2015年以降はシェア1位の座を維持。

日本自動車輸入組合は毎年、ブランド別輸入車新規登録台数を公表している。

それによると、過去10年間でメルセデス・ベンツがフォルクスワーゲンを抜いて、輸入車シェアでナンバーワンとなったのは、いま(2020年)から5年前の2015年と、まだ日が浅い。

さらに時代を遡ってみると、1999年にメルセデス・ベンツがフォルクスワーゲンを抑えてシェア1位だったが、2000年から2014年までフォルクスワーゲンが15年連続でシェア1位を維持していた。

それが2015年から、業界図式が徐々に変わり始めた。

2014年にフォルクスワーゲンは6万7438台だったが、2015年に1万台以上減少し、2016年が4万7234台、2017年が4万9040台、2018年が5万1961台、そして直近の2019年は4万6794台と平行線を辿り、シェア3位の座に甘んじている。

一方、メルセデス・ベンツはフォルクスワーゲン、BMWとの競争でシェア2位、または3位の時代が長かったが、2012年にBMWを抜いてシェア2位の座を確実とした後、2015年以降はシェア1位の座を維持している状況だ。

メルセデス・ベンツ優位の状況は、これからも続くのだろうか?

それとも……。

ヒエラルキーで販売台数が決まってきた

ヒエラルキー(階層)と言葉。

日本ではあまり聞きなれないかもしれない。

「S、E、C」という定番高級路線から「A、B、CLA、GLA」へと、人口の多い庶民の「手が届きやすい方向」に拡充。
「S、E、C」という定番高級路線から「A、B、CLA、GLA」へと、人口の多い庶民の「手が届きやすい方向」に拡充。

クルマにおけるヒエラルキーとは、所得階層によって乗るクルマが違うということ。お金持ちはメルセデス・ベンツに乗るという古典的な方程式である。

一般論では、メルセデス・ベンツオーナーの年齢層は、BMWに比べて高く、欧米企業が採用しているエグゼクティブ通勤用に支給されるカンパニーカーでも、メルセデス・ベンツユーザーの年齢は高めの印象がある。

一方、フォルクスワーゲンはドイツ語の直訳で国民車であるように、欧州大衆ブランドのド真ん中であり、庶民の乗り物というイメージは健在だ。

そうした古典的なジャーマン・ヒエラルキーに捉われず、市場拡大を狙う中で、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンは、必然的に戦略が違う。

メルセデス・ベンツは「S、E、C」という定番高級路線から「A、B、CLA、GLA」へと、人口の多い庶民の「手が届きやすい方向」にラインナップを拡充。

フォルクワーゲンはその逆で、「より高級」へ向かうと、当然そこではアウディとバッティングする、という壁にぶちあたる。

メルセデス・ベンツのほうが多モデル化の恩恵が受けやすい。

こうしたブランドの基本構造を踏まえた上、日本でのメルセデス・ベンツ販売拡大には別の要素が見え隠れする。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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